東日本大震災から15年
基幹産業や集う場守れ
高齢化する地域に送迎の足を
岩手県山田町 佐藤照彦(86)
東日本大震災の発生から15年です。多くの人が亡くなり、行方不明も多くいます。津波被害などを受けた被災地の状況や思いを山田生活と健康を守る会会長の佐藤照彦さんに聞きました。
岩手県山田町にある山田中央災害公営団地には、今も先の震災で家を失った10人の山田生健会の会員が住んでいます。そこでは高齢化が進んでおり、74%が65歳以上。国民年金月4〜5万円で暮らす1人暮らしが多数を占めます。コロナ禍前まで会員が集まっていた団地集会所は利用者が光熱費を負担しなければならず、利用回数は激減。さらに、会員の世話役のKさん(92歳、女性)宅に集まっていた会員も、Kさんが介護施設に入居したため、交流できなくなりました。
人口流出率30%
山田町は人口流出に歯止めが効かず、震災以降、被災市町村で1番の流出率となり30%を超えました。原因は基幹産業の漁業、サケは壊滅、カキ、ホタテ養殖も貝毒(貝に蓄積して人間の健康や生命に害を与える物資)にあい生産減になり、若者の働く場が失われていることです。
県立山田病院も常勤医5人が3人になり、2つしかない開業医も高齢で閉院になる可能性が大きいです。そして、佐藤さんが理事長を務めるやまだ共生作業所に隣接する保育園も閉園しました。
活動支援打ち切り
山田町の高齢化率は40%を超えました。国は被災者支援総合交付金でコミュニティ活動支援を行ってきましたが3月で打ち切りました。山田町は事業継続のため400万円を予算化したものの、社会福祉協議会は自治会を通じての高齢者の見守り程度しかできません。高齢者の多くは車がないので、各種交流に参加するには送迎が必要です。山田生健会が東日本大震災の津波被害以降、404回の「お茶っこの会」を開催できたのも、NPO法人からの助成金で送迎ができたからですが、それもなくなりました。
佐藤さんは「高齢者の孤立を防ぐには交流の場を。そのためには送迎の確保が必要。そして地域の産業や雇用を守ってほしい」と訴えています。
山田生健会は、役所を通じて岩手県民主医療機関連合会と共同で開催予定の「ミニ健康まつり」の案内のチラシを5000世帯に配布します。交流の場づくりに佐藤さんは意気揚々としています。
(川口義治通信員)

(2026年4月12日号「守る新聞」)