後期高齢者医療制度の「即時廃止」が先延ばしされている中で、9月13日から14日、第24回日本高齢者大会が茨城県水戸市で開かれました。13日は茨城大学で学習講座と分科会、14日は県立武道館で全体会、2日間でのべ4500人が参加しました。
13日、全生連担当の講座・第1教室には150人が参加。前半は、生存権裁判を支援する全国連絡会副会長の朝日健二さんが朝日訴訟1審勝訴50周年を記念し、「憲法25条生存権と生活保護」について講演しました。
朝日さんは、朝日訴訟の結果、生活保護基準が23年間にわたり引き上げられたことや、いま、最低生活費が引き下げられた悪政の下で高齢期をどうたたかったらよいか語られました。そして、「全国で高齢の原告が老齢加算の復活を求めてたたかっている生存権裁判は、憲法25条を暮らしに生かす大切な活動」と支援を訴え、最高裁あての署名が110人分集まりました。
裁判で勝つために生きる
車いすで妻の美紀子さんと参加した東京・町田の原告・松野靖(やすし)さん(75、町田)は、「死んでしまったら私の裁判は終わるから、私のすることは生きること」と、裁判にかける思いを語りました。足立の原告・鈴木カヅエさん(78)も参加。
生存権裁判を支援する全国連絡会の小川政(まさ)亮(あき)名誉会長(90)は、「世界中の権利はたたかいとるもの」というドイツの法学者イェーリングの「権利のための闘争」論を紹介。「権利を勝ち取るために、一緒に頑張りましょう」との発言は、参加者を励ましました。
いのち・仲間を大事にしよう
14日の全体会では山田栄作事務局長が基調報告で、無縁死や熱中症死、消えた高齢者、介護殺人などの現状を告発し、「憲法や安保条約を学び仲間を増やして、今こそ新しい高齢期運動を繰り広げよう」と提案しました。
静岡、福島、宮崎の各県から高齢期運動の元気な報告がされたあと、作曲家で東京音楽大学教授の池(いけ)辺(べ)晋(しん)一(いち)郎(ろう)さんが記念講演。ピアノを弾きながら「作曲は生きもの。音にもいのちがある」と語られ、「いのちを大事に、仲間を大事に、高齢期を楽しめる世界にしよう」と、ユーモアあふれるお話に会場は笑いの渦(うず)になりました。
最後に、後期高齢者医療制度の即時廃止など7つの特別決議と、大会アピールを大きな拍手で確認。来年の開催地・青森県へ大会旗が引き継がれました。
今年は、高齢者の底力を発揮して一人ぼっちの高齢者をなくし、権利を守る運動をさらに広げる勇気をもらった大会となりました。三重県生連の堀田芳雄さん(80)は、「安心してより良い高齢期を迎えるための高齢者大会であることを、若い人にも理解してもらいたい」と話していました。
(2010年10月3日号「守る新聞」) |