大阪府は今年の8月に、「財政構造改革プラン」(2011年度〜13年度に実施)を発表しました。プランは、府下の民間住宅の活用も図りながら、府営住宅戸数を将来的に半減(現在の13万8千戸を半減)にすることを打ち出しています。全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)は、大阪府下の住宅問題に取り組んでいる団体・個人と連携(れんけい)して「府営住宅削減に反対する連絡会」を結成し、その中心となって計画の撤回を求め奮闘しています。
橋下(はしもと)徹知事は、府営住宅の半減を進めるために、「府営住宅に入居している人は、平均入居期間・22年間で約1400万円の受益(じゅえき)を得ている」と宣伝し、府営住宅入居者とそうでない人とを意識的に対立させています。まさに、公的責任を放棄(ほうき)したものといえます。
堺市生活と健康を守る会では、10月22日、泉北高速鉄道の泉ヶ丘駅前で20人の会員が集まり、橋下知事が進めようとしている「大阪府財政構造改革プラン」の見直し・撤回を求める宣伝・署名行動を1時間行いました。
住宅困窮者は60万世帯いる
宣伝・署名行動では、「大阪府下の住宅困窮者は60万世帯おられます。また、府営住宅の応募倍率も毎回10倍を超えています。それなのに府営住宅を半分にするのは許されません。大阪府は、府営住宅を大量に建設し、公的責任を果たすことが必要です」と訴えました。
署名をした人からは、「橋下さんがこんな悪いとは思わなかった。今度は投票しない」という声がある一方、「橋下さんの悪口を言わんといて」などの反応もありました。ビラ300枚を配布し、署名75筆を集めることができました。
また、大生連は10月25日に113人の参加で大阪府との住宅交渉を行いました。大生連は、「(1)『大阪府財政構造改革プラン』で書かれている住宅戸数削減案はただちにやめること。(2)府営住宅の大量建設をすること」との要望書を提出し、話し合いをしました。
計画の撤回求め奮闘していく
大阪府は、「“半減の言葉”が一人歩きしているが、入居者に出ていけと言っているのではない。あくまで政策転換、政策目標である」と言い訳をしています。また、「半減はどれくらいかけて、どんな方法で行うのか」の質問に、「これから勉強して検討する」にとどまり、正に“半減先にありき”です。
参加者からは「府は入居者と入居できない人との不公平感をなくすというが、入居できなかった人も府営住宅がなくなればいいとは思っていない。もっと建設が必要だということだ」と怒り心頭。「半世紀以上、府営住宅が果たしてきた役割は大きい。大量建設こそ地域経済を温め、住民の幸福につながる」などの意見が出されました。
「府営住宅削減に反対する連絡会」では、11月19日に学習交流集会を開催。平山洋介神戸大学大学院教授が「住宅貧困を解決するための公営住宅の役割」と題して講演をし、府営住宅削減をめぐるその後の動向と、署名活動の取り組みの交流を行いました。大生連は今後も、宣伝署名行動、府議会への働きかけ、交渉・懇談なども強め、何としても計画の撤回をめざして奮闘していきます。(飛谷幹雄通信員)
(2010年11月28日号「守る新聞」) |