新潟県魚沼(うおぬま)市の板橋一行(かずゆき)さん(39)は、会社の違法なやり方で解雇され、途方にくれていたところ、生活と健康守る会を知って相談。路上生活になる寸前に、当面、生活保護で対応することができました。板橋さんは昨年11月24日の全生連中央行動に続き、12月22日、厚生労働省と交渉し、会社の不当なやり方の是正を求めました。
新潟県の大湯(おおゆ)温泉の湯元ホテル従業員で契約社員の板橋さんは、昨年9月2日に契約期間を残して突然、解雇されました。
その上、15日にはホテル会社の寮を追い出されてしまいました。
会と出会えなければホームレスに
板橋さんが地元のハローワークで緊急に公的な住まいの確保を相談すると、「定職の人や県外の人などの条件に合わないから駄目(だめ)」と言われました。
小千谷(おぢや)市に行き、生活保護の相談をすると「新潟や長岡の方が仕事もあるし、保護費も多い」と追い返され、「魚沼(うおぬま)市の窓口でも同じようなことを言われた」と板橋さん。その上、生活保護を申請しようとしたら、「住民票がないから」と申請を断られました。
万策(ばんさく)つきて、途方にくれている時、南魚沼市の六日町の図書館で見た本で生活と健康を守る会の新潟県生連のことを知りました。電話をしたところ、その日に魚沼生活と健康を守る会の大平誠(おおだいら まこと)事務局長と一緒に福祉事務所に生活保護を申請し即日受理(じゅり)されました。住まいも確保し、普通に生活できるようになり、板橋さんは今、求職活動をしながら、「守る会」の仲間と共にホテル側のひどいやり方を正(ただ)そうとたたかっています。
板橋さんは「『守る会』の人に会えてよかった。もし会えていなかったら私は橋の下で寝泊まりしていたと思います」と話しています。
最賃法や労働基準法に違反の疑いが
12月22日、全生連は、板橋さんのことをもとに雇用・労働問題で厚労省と交渉しました。
当局は「個別事案(じあん)には答えられない」が、一般論として「ホテル側の契約期間終了前の解雇は、1か月前の通告を義務づける労働基準法第20条に違反の疑いがある」「月数万円の収入しかない勤務形態は最低賃金法に抵触(ていしょく)する恐れがある」「雇用保険は遡(さかのぼ)って支給できる」「失業者の緊急入居は即日入居が可能であり、利用者の立場にたった運用を周知徹底(しゅうちてってい)したい」など、板橋さんを始めとした交渉団の要求や実態を一定程度反映した回答がありました。
交渉団は「今回のことは板橋さんだけでなく、失業者全体の問題だ」として、当局の全国的な行政指導を強く求めました。
(2011年1月16日号「守る新聞」) |