青森県の十和田市生活と健康を守る会は再結成されて10年になります。数年前の市福祉課との交渉で「生健会は福祉行政に関わらないで」とまで言われていましたが、今ではしっかり行政と組んで相談活動をするまでになりました。
十和田市生活と健康を守る会事務局の斗沢(とざわ)テルオさん(57)が、委員が公募された「『安心安全の街セーフコミュニティ』を進める十和田市の自殺防止部会」に昨年、参加しました。外からの要求運動だけでなく、行政の内側から変えることができないかと「会」で話し合っていたからです。行政の各部署と一体になり、自殺防止活動に取り組みました。
青森県は自殺死亡率第2位
市のパンフに「会」の連絡先載る
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「会」の連絡先が載っている十和田市相談窓口ガイドブック |
日本の年間自殺者は13年間連続で3万人を超え、交通事故死亡者数の5倍以上です。青森県は全国で2番目に自殺死亡率が高く(2010年)、十和田市は、さらに高い状況です。十和田市は、全世帯に自殺予防を呼びかける3万部のパンフレットを1月に配布。十和田市生活と健康を守る会は「会」の活動を自殺防止部会に話し、相談窓口の連絡先に加えてもらいました。
昨年9月の自殺対策全国フォーラムで発言したことから、地元紙・東奥(とうおう)日報(12月11日付)に、斗沢さんのことが大きく載りました。斗沢さんは記事の中で、「大事なのは、生活苦を助けることで自殺者数は大きく減る」「私たちの会も毎日のように相談が来る。私たちの活動の基本は、できるだけ生活保護や公的資金貸付制度を利用して、生活の立て直しを手助けする」「(生活保護)受給後も、社会からの厳しい目を感じてしまう。受給者とのつながりを持ち、自立を応援することが大事」と語りました。
地方紙で「会」を知り入会
“十和田市に住み続けたい”
この記事を読んだ、生活保護世帯の咲間(さくま)秋男さん(51)・信子さん(40)夫妻が昨年末に「感激した」と「会」を訪ねてきました。他市から移住して間もないので、地域とのつながりもないとのことで、新年会に誘い入会しました。2人は「こんな頼りになる人たちがいるなら、ずっと十和田市に住みたい」というまでになりました。
2月21日には福祉課との交渉を行い、職員の相談者への対応・言葉づかいをやさしくしてほしいことや、稼動(かどう)年齢層の生活保護受給者に、自治体で仕事をつくってほしいことなどを要望しました。
理事会では、「自殺率の高い十和田市でもここ1〜2年、生活保護受給者の自殺者は1件も起きていない。生活保護はセーフティーネットとしてしっかり生きている。これからも住んでよかったと言える福祉の街づくりのためにケッパッて(「頑張って」の意味の方言)いこう」と話し合っています。
(2011年3月6日号「守る新聞」) |