岩手県生活と健康を守る会連合会では7月17日、新潟(17人)や東京(4人)、神奈川(1人)からの応援を得て仮設住宅訪問を行いました。32人が10組で釜石(かまいし)市25か所、大槌町(おおつちちょう)22か所を訪れ、制度の紹介や「会」の連絡先の載ったチラシを届けるとともに要求を聞き取りました。様々な要求が寄せられ、やっと仮設住宅に入れても、大変な暮らしの実態が明らかになりました。(小古間ゆりか記者)
岩手・釜石市の天神、平田(ひだ)、小白浜の仮設住宅422戸を訪問する新潟の組に同行しました。チラシを配り「お困りのことはありませんか」と声をかけると、「仮設住宅に入れただけでよかった」「入ったばかりで慣れるのに精いっぱい」と言う方がほとんど。「仕事がなくなり、2年後に出られる見通しはない」との声もありました。
玄関を開けるとすぐ部屋という造りで、外のたたきに靴が並んでいるお宅では、「ひさしが短くて雨が吹き込み、靴がぬれてしまう」。たたきに車いすが置いてあったお宅は、「おばあちゃんが週3回、デイサービスに通っている。玄関にスロープをつけてと5月に市に頼んだが、まだつかない。砂利(じゃり)道は車イスを押すのに大変」。
いまだにつかない網戸 暑くてハエが飛び交う
夏日が続きますが、付いているエアコンは1台だけ。「各部屋に付けたいが、市は『また使うから穴をあけるな』と言う」。玄関で涼(すず)んでいた男性は、「ハエが多くて困る」と、ひさしに吊るしたハエ取り紙を指差します。
網戸はなく、「自分でつけたら、市から『つける』とお知らせが来た。でも、『自費でつけた人には補助しない』と言われた」「順次つけると言うがいつになるのか」の苛立(いらだ)ちの声に、「うかがった要求は市や県、国に伝えます」と話しました。
80代の女性は、「家は半壊(はんかい)で見舞金は25万円だけ。年金は月3万円。死んだ方がよかったのか」と。「生活保護もある。せっかく助かった命、地元の生活と健康を守る会に来てもらうので相談して」と励ましました。
被災者の今を伝えよう 生活の建て直し一緒に
「被災者のみなさんはもっと言いたいことがあるはず」と言う東京・荒川の宮内いほ子さん(61)。横浜・旭区の市木眞二さん(61)は、「役所も手薄で、本当に手が回らないようだ」と感じています。
「制度のことを教えてもらったのは初めて」という方も多く、生活を建て直していくのは要求を聞いた今から。 「地元の 『会』 が力を発揮して、被災者と繋(つな)がって」というのが、支援に入ったみんなの思いでした。
遠野の及川昇一さん(69)は支援への感謝を述べ、「釜石は再建、大槌町も結成に向け動いている。出された要求を解決しながら、しっかり『会』をつくりたい」と話します。新潟市の清治(せいじ)のり子さん(61)は、「この現場の実相(じっそう)を伝えることが大事。被災者が生きていてよかったと思えるように応援したい」と、決意を新たにしています。
仮設住宅で出た要求(一部)
○ポスト、呼び鈴がほしい
○雨どいをつけて
○収納場所が少ない
○集会場がほしい
○駐車スペースが小さく台数も少ない
○水が臭くて飲めない
○買い物や通院に、バスを通してほしい
○スーパーまで自転車で30分。「移動スーパー」を
○移動販売車や広報車が来るが、気付かないことがある。来る日時を知らせて
○単身者でも1室で4・5畳は狭い。せめて6畳間がほしい
(2011年7月31日号「守る新聞」) |