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反貧困世直し大集会 2011 義援金・原発事故仮払い金 生活保護世帯も “平等に扱って” リレートーク 福島県南相馬市の会員が発言

 10月16日、「震災があぶり出した貧困」をテーマに東京都千代田区の法政大学で、「反貧困世直し大集会2011」が開かれ、612人が集まりました。午前中は全体会で、午後は、教育や女性、住宅など12の問題で分科会。その後の全体会で「生きるために必要なこと」のシンポジウムが行われました。午前の全体会の被災者・被災地からのリレートークでの、福島県南相馬市に住む会員の発言を紹介します。

 原町区生活と健康を守る会のYさん(67)は、東日本大震災の義援金や東京電力の原子力発電所事故の仮払い補償金が振り込まれたことで、6月に説明もなく生活保護を打ち切られました。7月28日、福島県生連の援助で県に不服審査請求を起こし、弁護士11人が応援しています。

生活のために親身になってくれる行政に

 「3月17日に小学校で原発事故について市から説明があり、翌日バスで新潟県に避難しました。いつ戻れるか不安な中、5月23日に国・県から40万円の義援金が振り込まれました。その日にケースワーカーから電話があり、『生活保護をストップします。健康保険の手続きをして』と告げられました。地震での被害も聞かれませんでした。『手持ち金がなくなったら来るように』という話もありません」「5月24日には東電から仮払い補償金75万円が振り込まれましたが、緊急避難時用にとっておく必要があり、また、あとで精算して返さなければならないかもしれないので使えません。義援金や仮払い金が生活を立て直す(注・自立更生)ために自由に使えるのであれば、使い道を考えられるのですが、その説明もなくただ一方的に打ち切られました。自立した生活が送れるよう親身になって考えてくれる行政を望みます」「保護世帯の人も一般の人も被害にあった点では同じ。平等に扱ってほしいのです」と発言しました。

同じ市民なのに差別されるのはおかしい

 現在、3世帯の会員が不服審査請求を起こしています。不服審査請求をしたいと入会したUさん(64)・Mさん(67)夫婦とSさん(61)、保護再申請中のHさん(64)も応援に駆けつけました。4人とも、「同じ市民なのに差別されるのはおかしい」「保護を切られたら医者にかかれない」「低所得者の代表として頑張る」と決意しています。
 リレートークではそのほか、映像での参加を含め、漁民や自営業者、農民、教師、障害者、在住外国人、シングルマザー、失業者、公務員、原発労働者ら16人が発言しました。
 宮城県の公務員は、ハローワークで非正規労働者の相談に乗る職員が非正規労働者という実態を報告。
 子どもたちの心のケアなどをしている団体からは、震災で親をなくした小学生は526人、中学生362人、高校生438人、専門学生や大学生、大学院生合わせて260人。両親をなくした子どもは255人もいると報告がありました。

シンポジウム 「生きるために必要なこと」

被災者が 権利主張できる支援を

基本的人権としての居住権確立を

 シンポジウム・「生きるために必要なこと」では4人のシンポジストが発言しました。

―――◇―――
日本の貧困問題解決へつなげよう

 反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児氏は、「被災者復興は『人間復興』でなければならない。従来どおりの生活ではなく、雇用で言えば非正規をなくすなど、日本全体の貧困問題解決につながる復興を」と訴えました。
 福島大学名誉教授で福島県復興計画検討委員会委員長の鈴木浩氏は、「仮設住宅などの質が低い。住居空間や住居環境が『生活の質』として国政で問われてこなかった。基本的人権の一つに居住権を確立していくことが大事」と話しました。
 和光大学教授の竹信三恵子氏は、「復興会議などの場に女性の参加が少なく、理由を聞くと『人材が少ない』と言われた。そこで女性たちで人材リストを作ろうという動きがある」「被災者が権利を主張できるように支援していくことが大切」と語りました。
 真宗大谷派祐光寺僧侶の中下大樹氏は、「政策的な社会システムの問題と同時に、震災で大切な人を亡くされた方々が安心して心の痛みや傷を自由に語る場が必要」と、多くの被災者の支援・弔(とむら)いの体験を話しました。

―――◇―――
世界のみんなとスタンド・アップ

 最後に、「被災者、多くの仲間と連帯し、これからの復旧・復興と社会全体の建て直しに取り組んでいきたい」と集会宣言を採択。参加者全員で、“世界のみんなとともに貧困なくそう”と「スタンド・アップ」(立ち上がれ)と声をあげました。


 (注) 厚生労働省は、義援金などの取り扱いについて、「当該被保護世帯の自立更生のためにあてられる額」を収入認定しないこととしています。
 その費用の内容は一律・機械的な取り扱いをしないよう配慮を求め、自立更生にあてられる費用の例として、生活用品・家具、家電製品、教育費、墓石などもあげています。

(2011年10月30日号「守る新聞」)

 
   
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