東京・品川生活と健康を守る会では、会員が万一のときのために、「緊急連絡カード」の活用を強めています。班会でのカードの記入会では、活用について繰り返し話し合われてきました。岩城津千子事務局次長のレポートです。
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緊急連絡カードの表と裏 |
東日本大震災直後に東北各県で取り組まれた仲間の安否確認運動、全国の組織で進められている万一のときのための「緊急連絡カード」の取り組みが改めて注目されています。
私たちは、緊急通報システムの無料化を区に求め、安否確認のために、乳酸飲料の「にこにこ訪問」や、高齢者のごみ収集、給食サービス、ヘルパー派遣など、多くの会員に行政のサービスを受けてもらうように努力しています。
高齢者だけの世帯は会員の40%にのぼる
カードの対象者を出すのに大きな役割を果たしたのが、班の現況調査です。「会」では、会員の要求をつかむために、単身高齢者や高齢者世帯、生活保護世帯、都営住宅入居申込登録者会員の状況を班別に集計しています。
2010年8月現在では、「会」全体で65歳以上の単身高齢者が254世帯、単身者を除く65歳以上のみの世帯が124世帯います。合わせて高齢者だけの世帯は、会員全体の40%にのぼります。班ごとの集計作業の中で、会員の状況を班が把握することが、班の日常活動の要であることがわかってきました。
「緊急連絡カード」は本人に携帯してもらうだけでなく、いざというとき近親者と連絡をとるために、班長や役員は必ず連絡先の控えを持つよう話し合ってきました。
そのために班での「緊急連絡カード記入会」が欠かせません。万一のときに、お互いがどう助け合うかを繰り返し話し合ってきた北品川都営班のみなさんは、「カードは安全の『お守り』です」と話しています。
異変が起きても発見しやすくなった
昨年8月に一人暮らしの76歳の女性が自宅で亡くなりました。会員が訪ねた際、異変に気付き、警察と息子さんに連絡しました。連日の猛暑が続く中で、死因は熱中症でした。かけつけた息子さんから会事務局に電話が入り、会員の葬儀社と連絡をとって、葬儀の手配もできました。「亡くなったのは残念ですが、発見が早かったので簡単な検案だけで終わり、とても感謝しています」と息子さんは話しています。
坂口忠男事務局長は宮城県に、私は岩手県に被災者支援に入りました。死者と行方不明者の数が発表されますが、これは警察が確認した遺体の数、家族が届けた行方不明の人の数字です。
孤立して付き合いがない人が津波に流されても届け出がなければ行方不明者にもされません。一人ぼっちの人は、亡くなっても誰も気にしてくれないという悲しいことが起きないよう、命を守る助け合いのネットワークを広げていきたいです。
(2012年1月15日号「守る新聞」) |