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札幌市姉妹「餓死」「孤立死」で調査団 行政のあり方にメス 救えた命! 二度と繰り返すな

 冬の札幌で起きた姉妹死亡事件。事件の真相解明を目的に、全国「餓死」「孤立死」問題調査団(団長・井上英夫金沢大学教授)が、5月15日から17日の日程で、札幌市を訪れました。繰り返される悲劇、その背景には行政のあり方と生活保護バッシングがあり、構造的な問題が横たわっています。調査団は再発防止の提言をまとめ、札幌市には福祉行政の姿勢をただし、改善を求める要望書を提出しました。(西野武記者、番匠寛記者)

25年前と重なる構図

 事件の構図は、25年前の餓死事件と重なります。
 1987年1月。3人の子どもを抱えた母子家庭の母親が、福祉事務所に再三、生活の窮状を訴えましたが、保護申請として対応されなかったことから、悲惨な結末を迎えました。暴力団の不正受給を口実とした「第3次適正化」路線の下で、生活保護受給者減らしが進められていた時期でした。
 今回の「孤立死」も、「不正受給」キャンペーンが繰り広げられている最中の出来事でした。生活保護を求める姉妹に対し、行政は虚偽(きょぎ)と思われる説明までして申請権を侵害しました。生活保護法で定めた「急迫(きゅうはく)状態」に該当し、職権保護の義務を負うにもかかわらず、違法行為を強行しました。
 事件の現場はいずれも白石区。これは単なる偶然ではないようです。「区の姿勢に問題あり」と考えざるを得ないような答弁が、16日午前の白石区役所との懇談で繰り広げられました。
 ライフラインが止められ、食料も底をついていた姉妹。「申請をしていたとしたら事件は防げていた」と認めた区は、面接担当職員の事情聴取を行いましたが、それはずさんなものでした。聴取記録もとっていないというのです。そればかりか、「時間の経過により記憶があいまい」と話したという職員を、「(面接から)6か月から1年もたっているからやむを得ない」と弁護しました。
 調査団は翌17日、札幌市役所に要望書を提出しました。その後の記者会見で、井上団長は「今回の調査で、重要な一歩を踏み出すことができた。行政に対しては、引き続き改善を求め、監視していくが、支援も行う。さらに国へも提言していく」と3日間を振り返りました。

逆風吹き飛ばし前へ

 事件を機に、札幌市の姿勢を問題視する声が高まり、市はようやく改善の方向を打ち出しました。孤立死防止では(1)ライフライン事業者との連携(2)各区保護課が相談者の困窮の状態を把握するように徹底(3)生活保護を申請せずに帰った相談者への、再度の相談呼びかけ―などの対策を講じるようになりました。
 逆風は吹き荒れていますが、全生連をはじめとした弱者を守り、権利を追求するたたかいが進展。わずかずつではあっても成果が生まれています。


事件を世に問う

作家 雨宮 処凛(かりん)

 あってはならない死亡事件がまた起こり、大きなショックを受けている。私は亡くなった2人と同じ北海道滝川市出身だけに、とてもひとごとではないと思い、今回の調査に参加した。
 今、セーフティーネットが危ない状況にあり、生きる条件のハードルが高くなっている。加えて、地域による命の格差も見られる。さらに、「役立たずの貧乏人は勝手にしろ」という風潮もある。
 これらの問題や今回の事件についてこれからもいろいろと書き続け、社会に伝えていく。

(2012年6月3日号「守る新聞」)

 
   
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