大阪市の橋下徹市長は、3年間で100以上の福祉や市民サービスの削減・廃止など488億円も減らす「市政改革プラン(素案)」を打ち出し、市民のパブリックコメントを求めました。全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)も取り組み、市民から2万件の意見が提出されました。
橋下市長がやろうとしているのは、すべての世代に関わる住民サービスの切り捨て。さらに、「生活保護はムダ」という位置づけで、48億円を削減しようとしています。
生活保護受給者が多い西成区では、一部の「過剰受診」や医療機関の「不正請求対策」を口実に、医療機関登録制度を8月から実施予定。ケースワーカーが医療の必要性を判断し、「1診療科につき1医療機関」「1受給者1薬局」の登録証を交付する制度です。「お知らせビラ」が配布され、「持病があるのにちゃんと医者にかかれるのか」など、不安の声があがっています。
不正受給を徹底的に洗い直すとして、全行政区に警察官OBの配置も行われています。
市長の狙いは「大阪都構想」
橋下市長は、年間100億円と言っていた収支不足が「500億円になる」と、このプランを発表しました。でも、大阪市には資産も貯金もあります。
市長の狙いは「大阪都構想」。24行政区を8〜9区にして広域化し、都が財政の40%を吸い上げ、大企業のために使いたいのです。
吹田(すいた)生健会の鴨井慶雄(かもいよしお)さん(80)は、「吹田市長も『維新の会』。橋下市長は一見大きく政治を動かしているように見えるが、実は絶えず話題を変えて動かないと人気が維持できないという弱さや、最終責任を取らないという政策的なもろさも持っている。今こそ、生健会の出番」と言います。
「維新八策」で国政へ進出か
『維新の会』は国政進出を狙い、約2000人を集めた「維新政治塾」で、次期衆院選の公約とされる社会保障切り捨ての「維新八策」を議論しています。
大生連は今、「会員・読者ふやし特別月間」の中で班会や何でも相談会を開き、「橋下市長の攻撃は大阪だけの問題でない」とたたかいを強めています。
パブリックコメントから
○65歳になってすぐ、上下水道の福祉減免を申請しました。年金は下がり介護にお金がかかるようになるのに、廃止はつらい。
○市長は「敬老パスは維持する」と言った公約を守ってほしい。有料化で家に閉じ込められたら、病気になってしまいます。
○男女共同参画センター(クレオ)を利用しています。共同で子育てをする場、学び合う場が必要です。
○ラジオ・テレビから流れる大阪市音楽団や大阪フィルハーモニーの音楽に心が洗われ、生きる希望が湧いてきます。補助金廃止・削減は止めてください。
(2012年6月17日号「守る新聞」) |