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全生連、社保協が交渉 扶養は受給要件ではない 生活保護で厚労省が言明

 札幌市白石区で起きた姉妹餓死・孤立死事件では、行政の責任追及や事実究明に及び腰。さらに、生活保護制度では受給者親族の資産調査強化などさらなる締め付けの動き――。厚生労働省の庶民の生活実態に耳を傾けない弱者に対する厳しい姿勢が、またも明らかになりました。全生連と中央社会保障推進協議会が6月12日に行った交渉で、同省の存在意義を疑ってしまうかのようないくつかの事実が判明しました。(番匠 寛記者)

 生活保護制度の改悪撤回を求める要望書と、全生連に寄せられた生活保護に関する「私のひとこと」約120人分を提出し、交渉しました。首都圏の生活と健康を守る会の会員ら32人が参加しました。
 前回、3月23日の交渉では白石区の問題点を追及。「(区の対応は)事実とすれば不適切」との答えを引き出し、あらためて特別監査を求めました。しかし、まだ監査は行われず、今回の回答は「考えていない」でした。札幌市の監査は行う意向で、白石区についてはその後の課題としています。
 また、扶養義務強要をやめることと、「不正受給」を口実にした警察官OBの福祉事務所配置の撤回を求めました。
 前者については、「扶養は保護受給の必要要件ではない」と言明する一方で、「親族の資産調査強化の仕組み作りを検討している」との回答がありました。「扶養義務者に財産がある場合は制度への信頼をなくす」としています。
 後者については、「福祉事務所全体の整備を行う中での措置で、配置するか否かは各自治体の判断」との答えが示されました。しかし、目下の問題は、ケースワーカーが全く足りないこと。体制整備というならまずケースワーカー増員が先決で、その予算措置を求めました。

生保と年金は別の制度

 生活保護費が年金よりも高いとする基準引き下げ攻撃があることから、その両者の関連性をただしました。これに対し、「それぞれは別の制度で、金額をもって比較すべきではない」と、この攻撃は筋違いとの見解が示されました。
 これらのほか、「大阪市西成区の『特区』による登録医療制度、医療機関への指導強化などをやめるよう指導すること」を求めました。
 交渉には、生活保護受給者やその親族も参加。苦しい生活実態や制度の矛盾などを訴えました。

受給者らから厳しい告発

 榊原(さかきばら)芳治さん(78)は老齢加算が廃止されたため、支給額が月2万円も減りました。居並ぶ同省担当官に向けて、「みなさんも給料が2万円減額になったらどうしますか」と加算廃止の理不尽さを投げかけました。
 「ケースワーカーは多忙で、1年に1回来るか来ないか。相談事があってもまず電話で都合を聞いてから」と話したのは山本修平さん(61)。日常的な相談が難(むずか)しくなっている問題点を指摘しました。
 西村よし子さん(50)は親族が生活保護を受給しています。「(受給している親族は)冠婚葬祭があっても声をかけてもらえない。また、扶養義務強要は親子・親戚関係を悪化させる」と実態を告発しました。

(2012年6月24日号「守る新聞」)

 
   
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