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本件は、千葉地方裁判所が平成27年3月26日に原告の請求を棄却する判決を言い渡しました。東京高等裁判所は平成27年12月9日に控訴を棄却する判決を言い渡し、最高裁判所第三小法廷は平成28年10月4日に、上告を棄却する、上告審として受理しないとの決定をしました。

家畜同然の扱いに怒り 貧困ビジネスを裁判で告発! 千葉県

 病気で生活保護を受けるようになり、千葉県にあるNPO法人の無料低額宿泊所に自治体からの紹介で入居した会員の4人が、6月8日、そのNPO法人を相手取って千葉地裁に裁判を起こしました。劣悪な生活環境なのに、生活保護費から不当な入居費用などを徴収され、「人間らしく生きる権利を奪われた」として、その返還や慰謝料(いしゃりょう)など1520万円の損害賠償を求めています。9月13日には第1回口頭弁論が行われました。原告2人に話を聞きました。(田中由利子記者)

 原告の関口敏郎さん(58)は、「建物は元スーパーの社員寮で古く、見取り図にあるように、6畳2間とダイニングのスペースに、5人が入居していた。1人2畳半で、布団を敷くスペースしかない。布団も以前からの使い回しで汚れていて、綿が偏っていた。仕切りは石こうボードで、エアコンが2部屋にまたがるので上部60センチは空いたまま。個人部屋の入り口はアコーディオンカーテンで鍵はない」と話します。
 「食事は朝と夜のみで、冷えたレトルトのおかずとご飯、少しの漬物と、みそ汁もインスタント。食事時間も15分と決められ、寮長が見張り、みんな黙々と食べていた」「風呂とトイレは共同で、入浴は週3日、1人分の時間は15分たらず。湯を張る間もない。トイレットペーパーも5人で1か月9ロールまでで、とても足りない。洗濯も週3回の決まりだった」と原告の小山内(おさない)誠さん(61)。

手元に残る保護費では就労活動にも事欠く

 このような住環境で、使用料(家賃)は月4万6000円、食費が2万9000円、水道光熱費1万1000円、雑費2000円の8万8000円が徴収されました。
 手元に残る保護費は約3万円で、昼食代や足りないトイレットペーパー、洗濯洗剤、食料などを買うと、就職活動のための背広代も買えず、交通費にも不自由するほどでした。
 小山内さんは、「刑務所みたいで精神的にも苦痛だった。仕事を探し引っ越したいと市役所の生活支援課に話しても、『まだ早い。もっと貯金をしてから』などと言われ、このNPO法人に丸投げの状態だった」。
 原告4人と生活と健康を守る会の関わりは、入居者が、会員でもある市会議員に助けを求め、民間アパートに入ることができたことから。そのうわさを聞いた4人(入居期間2009年〜10年)も個別に相談に行き、民間のアパートに移って落ち着いた生活に戻ることができました。
 そして、地元の生活と健康を守る会立ち上げの準備会に参加。昨年6月に「会」が発足。今は同じような境遇だった人の相談に乗り、仲間を増やしています。12人で班もつくりました。

不満言うと強制的に退去、路上生活強いる

 裁判を起こそうと決意したのは、「入居者に正しい情報を隠し、『出ると保護を打ち切る』とか、不満を言うと強制的に退去させ路上生活を強いるなど、入居者に恐怖感を抱(いだ)かせていた。私たちは、生活保護費のピンハネをするそのNPO法人の金の卵を生むニワトリであり、家畜同然だったから」と関口さん。「私たちだけの問題ではなく、被害者も多い。このような貧困ビジネスを許すわけにはいかない」と、2人は力強く語りました。

長期入居施設と化し貧困ビジネスの温床

 社会福祉法は「生計困難者のために、無料又は低額な料金で簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の他施設を利用させる事業」(社会福祉法第2条第3号第8号)を「無料低額宿泊所」としています。
 「事業者が不当に営利を図り、又は利用者の処遇につき不当な行為をしたときは、同法72条第1項の規定により、社会福祉事業を経営することの制限または停止を命じること」と厚生労働省は、社会・援護局長名で通達(2003年7月31日)を出しています。
 でも、「次の生活までの一時通過施設」のはずの無料低額宿泊所が、自治体の支援の下「長期入居」施設と化し、貧困ビジネスの温床になっています。


問い合わせ先
千葉県生連 電話047―192―8344 FAX047―192―8343

(2012年10月21日号「守る新聞」)

 
   
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