全国生活と健康を守る会連合会は11月20日で創立58周年になります。創立以来、会員や国民の要求を大切にして活動してきました。中でも東京・北区生活と健康を守る会の木暮一二(こぐれかつじ)さん(当時66歳)の「私の要求」から始まった白内障眼内レンズの保険適用の運動は、砂に水が染み込むように全国に広がり、国会を動かしました。保険適用がされて20年、北区「守る会」で当時、運動に関わった人や、その後入会し手術をした人たちに集まってもらいました。(田中由利子記者)
1992年の2月に政府が白内障眼内レンズの保険適用を決め、4月から実施されました。当時から活動してきた匂坂(さぎさか)志を里さん(86)は、「当時の眼内レンズの手術は片眼で15万円もかかり、出せない人はあきらめるしかなかった。保険適用を勝ち取るしかない“運動だ”と、宣伝や署名行動を89年から、駅頭や団地などあちこちで起こしたわ。若い子からお年寄りまで、署名に行列ができるのを初めて経験した」と振り返ります。
老人医療費無料で手術91の今も編み物楽しむ
愛沢愛子さん(91)は、「近所の人に署名を頼んだわ。保険がきくようになってすぐ手術したけど、両目で15日くらい入院。老人医療費無料の時代で助かった。手術後、手を見たらしわだらけだったのを覚えている。おかげでこの年でも編み物ができるのよ」とうれしそう。
北区「守る会」の事務所で働く田村ソメ子さん(67)は、「国が実施する前に、『自治体でも助成を』の運動もしてきたわね。県で独自助成や国に保険適用の意見書を出すところも出てきた。都生連も都知事に1万人以上の署名を提出したり、故我伊野(がいの)徳治全生連副会長(都生連会長)が、日本眼科医師会会長に申し入れをしたり、全国で取り組んできたわ」と、当時のことを話します。
成果や「会」の歴史学び伝えていくことが大切
全生連の故関光甫(みつとし)会長らが91年11月、山下徳夫厚生大臣に、同年12月に羽田孜(はたつとむ)大蔵大臣に申し入れ。92年1月30日には、全生連3役が厚生大臣に最後の申し入れをしました。
同時に老人クラブや民主団体への働きかけも強め、中央社会保険医療審議協議会や厚生省に1万を超す要請ハガキを送り、追い上げていきました。
役員をしている藤本ヒロ子さん(72)は3月に、同西村秀男さん(72)は2年前に手術しました。2人とも「会の歴史を学ぶ中でこの運動を学んだ。都営住宅などの相談会や班会などで、これらの実績を話している」と、歴史を伝えていることを報告。佃(つくだ)弘子さん(72)は「55歳のとき手術した。運動をしてくれてありがたかった」。吉田きくゑさん(82)は来月に目の検査をするといいます。
「当時のことを知る人が少なくなって来た。機会あるごとにこのような運動を伝えることが大切ね」は、みなさんの共通した思いでした。
(2012年11月18日号「守る新聞」) |