2013年度予算要求全生連中央行動(一部既報)2日目の11月20日午後、3時間にわたる厚生労働省との生活保護交渉が行われました。生活保護基準の引き下げと扶養や就労などを強要する「見直し」の中止と老齢加算の復活などを求め、かつてない改悪に怒りと要求を持って180人が参加。生活保護を受けている当事者が切実な実態を訴え、当局に迫りました。(各省交渉、関連記事2〜5面)
“老齢加算” は必要あったものを返して
生存権裁判原告・北九州市小倉区の毛利吉彦さん(77)は、「老齢加算は『新しく制度をつくって』と言っているのではない。受けていた者に何の説明もなく、3年にわたって切っていったことに不服を申し上げている。みなさん共通して、近所付き合いができなくなり、光熱水費や食料品、冠婚葬祭費を始末している。戦時下を生き抜いた年寄りをいじめないで。あったものを返して」と訴えました。
「寒冷地でなくても気温がマイナスになる。灯油1缶が10日しかもたない。冬季加算の増額を」と福岡県飯塚市の谷口照美さん(62)。「就職活動のための交通費が全く認められていない。役所は『熱心かつ誠実に努力した場合に交通費(移送費)が出る』とし、『該当者がいない』と言う。隣の市では1回でも出ている」と千葉県八千代市の津田一哉さん(39)。「体にむち打ち働き、足りない分、生活保護費を受けているが基礎控除が少ない。自立を助けるためには必要だ」とさいたま市西区の中村敬さん(49)。「母子家庭で、出産して1か月で就労指導があった。しかし、子どもがいるというだけで企業は面接も受けさせてくれない。働きたくても仕事がないというやりきれない気持ちを分かって」と札幌市北区の須藤英未さん(31)など、何人もの人が実態を訴えました。
当局は「冬季加算は検討課題としては認識している。基礎控除額の引き上げは検討。就職活動の移送費の支給にばらつきがあることは認識し、生活保護の見直し・就労支援の中で検討していきたい」と回答しました。
全大阪生活と健康を守る会連合会の大口耕吉郎事務局長は、404人の「生活保護世帯のアンケート」の結果を紹介し、食費や衣類の節約、入浴回数など、具体的な事実を突きつけ迫りました。
「申請書」を渡さず姉妹孤立死に怒り
札幌・白石(しろいし)区の「姉妹孤立死事件」について、北海道生活と健康を守る会連合会の細川久美子副会長は、姉は福祉事務所に3回も行ったのに、白石区の課長は「本人が『申請したい』と言わなかった。押し売りの制度ではないから」とマスコミなどに答えていることを告発。「申請ができることを、なぜ知らせなかったのか」「申請書を窓口に置かないからだ」など、怒りの発言が相次ぎました。
参加者の追及に、厚労省は「本当に必要な人が生活保護を受けられなくなるようなことがあってはならない」と回答しました。
参加者からは、「さまざまな人たちの裏付けある発言で迫力があった」「大規模な交渉はこれからも続けて」などの感想がありました。
(2012年12月9日号「守る新聞」) |