新潟地裁第1民事部は12月14日、生活保護の老齢加算の減額・廃止取り消しを求めていた生存権裁判で、原告の請求を棄却。厚生労働大臣の減額・廃止決定は合法との判決を言い渡しました。新潟市の山田ハルさん(93)、阿部長治さん(87)、新発田市の長谷川シズエさん(88)の3人が、新潟市および新発田市を訴えていました。(吉田松雄通信員)
実態みない 非情な司法
老齢加算の廃止から約6年が経過。原告は慢性疾患による身体の不調を抱えて健康状態が悪化し、社会的な孤立感も深めています。生活環境が悪化する中で、暑さや寒さに耐え、食事、入浴、親せきや友人・知人との付き合いも控え、ささやかな要求をひたすら押し殺して生きています。
判決は、このような原告の現状、訴えを真摯(しんし)に受け止めることなく下されました。政府はいわゆる「生活保護バッシング」を背景に、生活保護基準の引き下げなどさらなる制度改悪を狙っています。その動きに追従するもので、憲法と生活保護法の基本に反するものです。
判決発表後の報告集会・記者会見には、県下の生活と健康を守る会の会員、労働組合、市民団体、個人ら90人余りが参加しました。
判決を受けて、原告・弁護団、裁判を支える会は声明を発表。その中で、「国は老齢加算を直ちに復活するとともに、生活保護制度の改悪を速やかに断念すべきある。各地の原告・弁護団・支援する会とともに、老齢加算の速やかな復活を求め、今後も全力で闘う」との決意を表明しました。
怒りの声充満 判決後に集会
判決後の報告集会。憲法25条を否定し原告の実態を無視した不当判決に対して、参加者全員から大きな抗議の声が上がりました。
原告3人はそれぞれ次にように語りました。
阿部さん=不当判決です。これからも老体に鞭(むち)打ち、体の続く限り闘います。今後ともご支援をお願いします。
長谷川さん=6年間必死で頑張ってきたのに、残念で悔しい。このままではあきらめきれず、死にきれない。最後までご支援をお願いします。
山田さん=今回の裁判はだめでしたが、これからも頑張ります。応援してください。
また、竹下義樹弁護士は「裁判所が国民の生活を顧(かえり)みずに判決を下すことは許されない。実態に少しも触れようとしていない」とコメントしました。
(2012年12月23日号「守る新聞」) |