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“福祉”は命を救うはずなのに・・・ 生活保護利用者を追い詰める扶養調査

 

 昨年、お笑いタレントの母親が生活保護を受給していたことを引き金にして、生活保護へのバッシングが強まり、行き過ぎた扶養調査が全国で進められています。生活保護利用者は、扶養の強制で、不安いっぱいの生活を強いられ、中には体調を崩したり、とじこもったりしてしまうケースも生まれています。長野県松本市と、宮城県塩釜市のケースを紹介します。

手荒い兄と同居強制生活保護申請認めて
〈長野・松本〉

 昨年8月、生活保護申請をした長野県松本市の59歳の女性は、1年前に一緒に住めなくなった兄から「同居条件の扶養届」が提出されたために、生活保護は却下になりました。
 福祉事務所は、「一時的な兄妹間の行き違いだから同居して面倒を見てもらうべきだ」と言いました。しかし、その女性は、兄による生活上の厳しい叱責や対応は虐待にあたると語り、同居はできないと訴えました。福祉事務所は、兄の「同居条件の扶養届」があるため却下しました。
 松本生活と健康を守る会などが、「生活保護がなければ生きていけない」と、県に不服審査請求を提出。県が書類審査だけで女性の訴えを棄却したため、厚生労働大臣に再審査請求を出しています。
 この間、兄からの援助は全くなく、昨年8月までに蓄えを使いきり、仕事も見つからないため、日常の食糧支援で食いつなぎ、ライフラインは滞納額がかさんでいます。
 福祉事務所は、人間の尊厳が傷つけられるため兄妹一緒に暮らせないと訴える女性の声には耳をかさず、出された扶養届だけで判断しました。扶養は保護の要件ではなく、実際に経済的援助がされた場合に収入として認定される仕組みです。厚生労働省は、審査請求が多く審査に時間がかかると言いました。
 女性は、「福祉事務所は、虐待を知っているはずです。兄の扶養届だけをもとにして申請を却下しました。このままでは生きていけません。早く生活保護を受けられるようにしてください」と訴えます。(児玉典子さん)

突然扶養調査が届き家庭内が他人行儀に
〈宮城・塩釜〉

 宮城・塩釜市生活と健康を守る会の事務所に、柴木]男(いなお)さん(80=仮名)が怒りながら相談に来ました。
 柴木さん夫婦は、赤ちゃんの時に引き取った子を現在までの30年間、実の子として育ててきました。娘の広美(仮名)さんは、事実を知らず暮らしていました。
 ある日突然、仙台市若林福祉事務所から広美さん宛てに「あなたの父(実父)が生活保護を受けている。どの程度援助できるか返答するように」という扶養調査が届きました。
 広美さんは、大きなショックを受け、以来、家庭の空気は一変、他人行儀のようになってしまいました。
 柴木さんは、福祉事務所に文書を持って抗議に行き、福祉の職員が口頭で謝りました。
 このような事例が通常化すれば、大変な事態になります。「すぐにでも改めるべきだ」と柴木さんは強調します。

極限まで追い込む

 宮城県塩釜市の山形君子さん(78=仮名)は、生活保護を受けて、10年以上になります。
 昨年夏ころからケースワーカーに「今度、扶養調査で三親等まで調べることになる」と言われました。
 君子さんの夫は、10年以上前に事業に失敗、多額の借金を抱え、自己破産しました。君子さんの姉妹や子どもから借金をしました。
 長男は、借金の穴埋めに金融機関から借金。現在でも月5万円以上の返済をしています。姉妹には、借金を返し切れていません。
 こうした姉妹や子どもに対して、さらに「援助できないか」と扶養調査が届きます。君子さんは、再三福祉課に「扶養調査を出さないでほしい」と訴えています。君子さんは「私にも覚悟がある」といいます。覚悟とは「生きていられない」ということです。扶養調査は、人間を極限まで追い込んでいます。守る会は、福祉事務所への交渉を申し込んでいます。
(虎川太郎通信員)

(2013年3月3日号「守る新聞」)

 
   
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