ここ数年、複数世帯の孤立死が社会問題化しています。大阪市北区のマンションで5月24日に母子の遺体が見つかり、全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)などは6月4日、守口市の社会福祉課に出向き、聴き取り調査を行いました。さらに、発見当時、電気、ガスが止められていた事実について全国生活と健康を守る会連合会は7月4日、経済産業省にライフライン事業者への指導はどうなっているのかを取材しました。(西野 武記者)
市の救済する意思大切
亡くなった母子の部屋からは、「最後にもっとおいしいものを食べさせてあげられなくてごめんね」という母親のメモが見つかっています。母子は、大阪市北区に引っ越す以前は、大阪府守口市に住んでいました。早い段階での保護で、母子を救うことができなかったのでしょうか。
大生連、門真・守口生健会、北生健会、大阪社会保障推進協議会が守口市へ聴き取りを行ったとき市役所は「昨年7月4日に、生活保護担当窓口に来たことは確か。内容は『現在は、援助があり生計は維持できている。来月から仕事を始める。ただ援助が途絶えたら不安なので、その時のために相談に来た』と言うことでした。申請の意思を確認しましたが、意思はなかったです。事務所では、援助が途絶えたら連絡するようにと伝えました」と説明しました。
援助の額、申請用紙の手渡し、相談に対応した時間についての記録はあるのかの問いには、「援助額は最低生活費を上回っていたと聞いています。書類を渡したと言う記録はなく、相談時間の記録もありません」とし、今後の対応については「水光熱、新聞などのいろいろな連携も必要で、一つの制度では限界があります」と答えました。
これに対し大生連は「7月4日以降、北区、守口市とも接点がない。相談者が二度と行きたくないと思うような状況をどう防ぐかが大切です。ライフライン業者との連携と併せて最後の砦(とりで)の生活福祉課が、救済するという意思が求められています。事件を二度と起こしてはいけない」と要請しました。
声なき犠牲者をなくせ
全生連は7月4日、経済産業省に、大阪母子孤立死問題で、電気・ガスが止められていた件について話を聴きました。
経産省は「昨年4月3日に課長通達で、ライフライン業者(電気、ガス、水道)と自治体の連携を推進する通達を出しています」とした上で、「今回の件で、関係事業者に確認したところ、母子は、10月から電気、ガスの使用を開始、1月まで請求を出し続け、連絡が取れず、出向いた時も留守でコンタクトが取れず、供給約款では検針日から50日過ぎて猶予期間を設けて止めていいことになっており、止めたということです。生活状況まで把握するのが難しいと事業者は話しています」と述べました。
全生連辻清二副会長が「事故をなくすためにも、ライフライン業者と自治体の連携を強めるよう指導徹底する考えは」の質問に、経産省は「通達は出しているので、同じものは出せない。厚生労働省とも今回の件では意見交換をしている。事故を防ぐためにも連携がのぞましい」と語りました。
(2013年7月14日号「守る新聞」) |