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宮城の会員が東北厚生局に 協会けんぽ一部負担金 全国初の審査請求 お金持っていないと医者に行けないのか

 宮城県名取市に住むタクシー運転手の渡辺敏春さん(57)は7月8日、東北厚生局に協会健保の一部負担金の減免申請不該当処分に対する審査請求書を提出しました。渡辺さんは、5月17日に協会けんぽ宮城県事務所に減免を申請(6月2日号に一部既報)、同28日に免除不該当の通知が届き、代理人の宮城県生連の山脇武治事務局長と熟慮の末、「制度自体がおかしい」「苦しんでいるのは私一人ではない」と不服申し立てすることを決意しました。(西野 武記者)

生活保護基準以下でも救済されない

 渡辺さんの手取りは月7〜8万円、震災をきっかけに、子どもがアルバイトできなくなり家計を支える上で、厳しい状況になりました。渡辺さんは、協会けんぽに加入しており、妻が入院・手術をした時の医療費の支払いが困難だったため、全国健康保険協会岩手支部(会社の本社が岩手県のため)に減免申請を行い、宮城県事務所で受理してもらいました。
 協会けんぽは「罹災(りさい)証明」がないことを理由に、「一部負担金の免除要件に該当しない」という不該当通知を送ってきました。

東北厚生局に提出した審査請求書
東北厚生局に提出した審査請求書

 これに対して、山脇事務局長は、「医療費を払ってしまうと、生活保護基準以下の生活になってしまう。こうしたケースをどうしたらなくせるのか」とした上で、「現在の制度は、震災によって被害があったかどうか、罹災証明を持っているかどうかなどで決まります。もっと加入者の生活実態にそって救済できる制度にしなければいけない」と制度改正の必要性を語りました。
 東北厚生局への審査請求は、理由として、(1)免除要件を定めた要綱が憲法25条と照らして妥当、適当なものか、(2)生活保護法では、医療費を支払うことで、生活費に充当できる収入が保護基準を下回る場合は、生活保護適応対象とされ、申請すればその差額分は生活保護費から扶助を受けることができる、(3)国民健康保険の減免制度は収入の減少割合を物差しにしてきたが、生活保護基準を考慮した運用が広がり始めている(4)医療保険制度の本来の目的は、経済的に困難な人でも必要な医療が受けられるようにすることにある―などを掲げています。

苦しんでいるのは一人だけではない

 当事者の渡辺さんは「長い間、保険料、税金を払ってきたのに、困ったときに免除が認められないのはつらいです。医療費が高くてなかなか払えません。かといって、病院に行かなければ、病気がもっとひどくなってしまいます。年収200万円以下の人が増えていると思います。みんなぎりぎりの生活です。命を大切にする制度であるべきだと思います。今回の申請は、自分だけの問題ではなく、同じように苦しんでいる人のためにもなると考え申請しました」と語りました。
 山脇事務局長は「三重県生連からも、審査請求の相談がありました。こうした運動が労働組合も含めて全国的に広まれば、制度を変える力になります。なぜ審査請求をやるのかは次の2つです。一つ目は、単純に目の前の困っている人を助けたかったから。二つ目はどんなに困ろうが助けられない制度の不備の改善です。今回は、とても高いハードルですが、お金がない人は、医者にかかるなという制度は、変えなければ」と語気を強めました。

(2013年7月21日号「守る新聞」)

 
   
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