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三重で高齢者大会 シルバー頑張る 怒り爆発生活保護分科会 権利守るために立ち上がれ

 「無茶苦茶だ。改悪を押し付けてくる」「運動なくして生きる権利は守れない」―。第27回日本高齢者大会(9月12、13日、三重県津市)の「国民の生活を支える生活保護を考える」分科会で、強権を発動する行政の横暴ぶりを糾弾し、それに立ち向かう行動を強めなくてはならないとの発言が相次ぎました。43人が出席した分科会は全国生活と健康を守る会連合会が担当。大会の中央実行委員会委員長を担った安形義弘会長が講師を務めました。(番匠 實記者)

驚くべき実態

 「改悪が押し付けられている」と安形さんの話が始まりました。
 生活保護制度の歴史、制度改悪の背景や内容、憲法や法律の規定と行政が実際にやっていることとの矛盾点などを事細かに説明。不服審査請求の重要性を訴えました。
 続いて討論に移ります。利用者不在、しいては国民全体を苦しめてしまう生活保護を巡るさまざまな実態が語られました。
 石川県のある民間病院の院内薬局に張り出された掲示です。そこには「生活保護利用者に対してはジェネリック医薬品を使う」と記されていたそうです。否応なしの人権無視がまかり通っています。
 地域社会が以前とは様変わり。その変化は生活保護とも無縁ではありません。定年退職後に果樹農家を営んでいるという山梨県の男性の報告です。
 「農村部では世間体もあってか、以前は生活保護利用者が少なかったが、今はそうではない。生活のために80代でも農作業を続けなくてはならないのが現実。ぎりぎりまで働き続け、どうしても動けなくなって生活保護というパターンが増えているようだ。30世帯のある集落では2世帯が利用者だ」
 「買い物の場が限られ高い商品でも買わざるを得ず、公共交通も崩壊している農村部ほど底辺層が増えているのでは」という指摘もありました。
 行政サイドの声も印象的でした。
 民生委員をやっている三重県の女性は「本当に厳しい。困窮者が増えている」と話していました。
 大阪府の公務員OBが述べました。「良心的なケースワーカーは決して少なくない。役所にも味方になってくれる人はいる」。

会員決意語る

 高齢者大会には各地の生活と健康を守る会から大勢の会員が参加。この分科会でも存在が目立ちました。
 「今回の切り下げはひどい」と憤りを隠せない千葉県の樋口茂雄さん(76)。この間、地元では生活保護変更通知書に関する説明会を開催。市職員から説明してもらうなどの活動を進めてきました。
 「生活保護利用者全員が立ち上がるくらいの勢いで、みんなが力を合わせなくてはならない。もっと大きな声を上げて、生活保護を守りぬく闘いを繰り広げよう」と話していました。
 新潟県の鈴木治雄さん(78)は大会の常連です。参加はこれまでに20回以上を数えます。地元では生存権裁判闘争に力を入れていることもあり、今年も生活保護分科会の一員となりました。
 鈴木さんは今、審査請求運動に取り組んでいます。その一環として、「県下全市町村訪問を計画している」と報告。生きる権利を守る闘いにかける意気込みを示しました。そして、良心的であればあるほど悩みが深いという福祉行政担当者とも一緒になった、国民的な大運動の必要性を強調しました。

2日間で全国から5300人

 大会には延べ5265人が参加しました。初日は学習講座、分科会など。2日目は全体会でした。
 三重県総合文化センター大ホールだけでは参加者を収容しきれず、あぶれた人たちは中ホールでの同時中継映像を見ることになった全体会。安形義弘中央実行委員会委員長が主催者あいさつ。「高齢者が閉じ込もり、『長生きは罪悪』と思わせる社会は、現役世代も苦しめる」と述べ、そのような世相を生み出した、政府の無策を批判しました。
 記念講演はNHKチーフ・プロデューサーの板垣淑子さん。今年1月に放映された「老人漂流社会」などの取材を通して感じた、社会の矛盾を語りました。
 「申請しないと生活保護や介護を利用できない現実は非情に恐ろしい。介護現場では書類代筆といったぎりぎりの脱法行為が行われている。今、本当に必要なのは、抜本的な制度改革だ」と語り、大きな拍手を集めました。

(2013年9月29日号「守る新聞」)

 
   
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