全生連は、8月からの生活保護基準の引き下げに対して、「引き下げストップを」と怒りの審査請求1万件をめざして、全国各地で行動を起こし、9日24日現在で8535件に達しました。この審査請求運動は、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を実現し、拡充させる画期的なとりくみです。大分と大阪の2人の審査請求した人の声を紹介します。
必死で孫育て 節約もう限界
大分県宇佐市佐藤マサ子さん(78)
私は、中学3年生の孫と二人暮らしです。彼女を養女にして、もう10年以上が経ちました。夫が他界し、苦労の連続でした。私が病気で入院した時は、施設のお世話になった時期もありました。この子を一人前にするまでは頑張ろうと、必死に生きている毎日です。
78歳にもなると、病院は欠かせず、少ない収入の中でやりくりに苦労しています。何とか高校だけは行かせたいと、塾へ通わせています。食欲旺盛で、スカート丈はすぐに短くなり、買い替えることもできません。夏でもお風呂は2日に1回、狭い土地を借りて、野菜作りもしています。今年は、エアコンを付けてもらい喜びましたが、これも節約です。
こんなに苦労しているのに、8月から2000円も保護費が下がりました。年間では2万4000円です。それが3年間も、毎年下げられます。これ以上どこを節約しろというのか、怒りでいっぱいです。
弱者狙い撃ち 国は無法正せ
大阪市大正区仲村義男さん(67)
私は、一生懸命働いてきたが、会社は倒産。年齢がいくと働く場もなくなり自殺も考え、実際やったが失敗した。社会の最後のセーフティーネットである生活保護を申請し、生きる希望が出た。精神的にも安定し、生活の建て直しに向けて頑張っている。最初は保護費の使い方から考えて家計簿をつけ、1日なんぼの生活をしている。保護を受けてから2年ほど引きこもる生活をしていたが、声が出なくなり、去年から「生健会」に入って、人と関わるようになり、少しずつ声が戻ってきた。
そんな中、怒りを覚えるのは社会のセーフティーネットを壊すような生活保護切り下げ。弱者である生活保護の切り下げが許せない。節約して、人間らしく生きたいと考えているのに、根拠もなく、頭から、社会保障を減らさないといけないから保護費を減らす、これが日本がめざす美しい国なのか。政府、自民党の考えに怒りを覚える。まず私たちが審査請求をしないといけないということで決意した。
(2013年10月6日号「守る新聞」) |