8月に生活保護基準が引き下げられ、来年4月には消費税の8%への引き上げが決まるなど、暮らしへの打撃が大きく響きます。こうした中、全国生活と健康を守る会連合会の唯一の空白県だった栃木県に「宇都宮生活と健康を守る会」と「益子生活と健康を守る会」の2つの会が正式に結成され、全生連に近く加盟する運びです。新しい会を訪ねました。(西野 武記者)
解散の危機から“一転”
宇都宮
この間、宇都宮生活と健康を守る会は、準備会として故金田正代事務局長を中心に、活動してきました。
今年3月2日の理事会で、金田事務局長が病気の悪化を理由に辞意を表明。後任が決まらず、「守る新聞」の配布・集金以外には手が回らないで、実質休止の状態を余儀なくされました。
その後、事務局長が入院、4月27日に死去。会員の中からは「大変な情勢の中で、『会』は必要」という声が挙がり、臨時拡大理事会、総会を開き、新事務局長の柴野智明さん(59)を迎えました。
「最悪解散も視野に入れた集会でしたが、会員からは、前向きな意見、総会をやろうという声が多く上がりました。8月25日の総会に出席してくれた藤谷加津江全生連事務局長が『役員がいなくなると崩れる会も多い中で、地道に活動を続けてきたから今後につながる根っこがしっかり張っている』と言われました」と、当時を振り返る前事務局長の奥さんの金田郁子さん(=78、現会計担当)。
猪瀬和男会長(80)は「前任者の意思をしっかり受け継ぎ、地域に根差して、近い将来、県生連をつくれたら」と話しました。
続いて、柴野新事務局長は「これまで努力をしてきた故金田さんたちの灯を消すわけにはいかない。会員は、大会後に1人増えて現在は31人。さらに地域に役立つ『会』にしていきたいです」と語りました。
9月19日には、会員の遠藤久光さん(69)が、宇都宮市では初めてとなる生活保護費削減の不服審査請求を提出しました。
「人に役立つ」心を柱に
益子
益子生活と健康を守る会準備会はこれまで、近くの宇都宮に相談できる「会」が存在していたことと、町会議員が生活相談をやっていたこと―という2つの理由で2007年から活動をしていました。宇都宮の金田事務局長が亡くなったことで、益子も「会」の見直しがはじまりました。
陶芸家で「人の役に立つことがしたい」という冨野博司さん(68)が会長代理となり、小堀二三男さん(77=冨野さんの陶芸の先生)と、妻の小堀敦子さん(73)の3人の役員と会員15人で「会」を結成、全生連に正式加盟することになりました。
「会」の発足に当たり、(1)毎月第1月曜日に「何でも相談会」を開く、(2)運営委員会(事務局会議)を月1回開く、(3)相談会の知らせ方も今までのように町議会議員の議会報告だけに頼るのではなく、ビラやステッカーで告知する―の3つのルールを決めました。
冨野会長代理は「地域のコミュニティーをつくり、問題の解決に力を注ぎたい」と語りました。
会員の大塚佳子さん(74)は「家族全員で会に入っています。何でも相談ができるので、なくてはならない『会』です」と話しました。
(2013年10月20日号「守る新聞」) |