日本人の生活に欠かせない飲み物はお茶。それを主役の座に据えた催しが、生活と健康を守る会の主催、もしくは協力により開かれています。今回紹介する愛知県と岩手県の2つのケースは、成り立ちをたどるとどこか似通っています。いずれも、孤独に悩む人をなくすための場を設けたい、との思いから始まりました。参加者は茶碗を片手に、よもやま話に花を咲かせ、互いの悩みやグチなども聞き合います。そこから広がる人と人の輪が、孤独感や寂しさを和らげます。お茶の効能は確かなようです。
歴史重ねて20年
愛知・南区
「閉じこもりの老人をなくそう」―。そんな思いから始まったのが南区生活と健康を守る会・伝馬(てんま)班の「お茶会」です。歴史はかなり古く、かれこれもう20年くらいは続いています。
開催スケジュールはほぼ月2回。主に火曜日、木曜日、土曜日のいずれかです。参加者や運営する人の都合を聞き、最も集まりやすい日を選ぶように工夫しています。9月は10日と26日、10月は12日と24日となりました。
案内はチラシ。忘れられてしまわないように、開催の2日ほど前に手分けして配っています。
誘い合って会場に足を運ぶ人は20〜25人。毎回のように新しい人が2人、3人と訪れます。
会場では神妙な気分で抹茶をいただきます。そして、もちろん世間話にも花を咲かせます。また、リフレッシュのための体操をしたりしています。
最近は、終わりにみんなで歌を歌うようになりました。うたごえ喫茶で使う歌集を借りて、童謡や唱歌、懐メロなどを10曲ほど、大きな声で楽しんでいます。
(伊藤邦男通信員)
毎週欠かさず開催
岩手・山田町
東日本大震災被災地の岩手県山田町で週1回開かれている「お茶っこの会」。地元の社会福祉法人が主催し、山田町生活と健康を守る会が協力しています。2011年7月にスタートし、今年9月にはついに100回の大台乗せ。その後も順調に回を重ねています。
被災者の心のケア。それがきっかけでした。震災で住む家を失った人たちの多くは仮設住宅暮らし。震災前のコミュニティーが崩壊し、生活が様変わりする中で、「寂しい」「もう死んでしまいたい」という声が、数多く聞こえてきました。「何とかしないと」と社会福祉法人を運営し、生活と健康を守る会の会員でもある佐藤照彦さんが立ち上がります。
7月22日が第1回。それを皮切りに、途切れることなく続いています。会場は社会福祉法人の共同作業場の一部屋。毎回、40〜50人が集まります。お茶を飲みながらおしゃべりし、月2回は体操指導もあります。心身ともにリフレッシュできるひとときです。
参加メンバーで目立つのは生活と健康を守る会の仲間たち。「いつの間にか多数派」(佐藤さん)になりました。会員と会員外の人たちが気軽に話し合う中で接点が広がり、入会につながるパターンが多いようです。
共同作業場での集まりに加えて、仮設住宅に出向いての「出張お茶っこの会」もやっています。こちらも週1回ペースです。
新たな一歩を踏み出した9月18日の101回は、45人が参加。岩手県農民連女性部の10人から材料を含めてすべて自家製の、餡(あん)やショウガなどを使った30種類もの餅料理が振る舞われました。
この日は、医療費や介護保険なども話題に上りました。佐藤さんからは「行政に要望しよう」とのよびかけがありました。多彩な内容で、2時間を和気あいあい、かつ有意義に過ごしました。
同会はユニークな独自企画、マッサージ師を招き施術を受ける班会を定期的に開催。会員から喜ばれています。(川口義治通信員)
(2013年10月27日号「守る新聞」) |