またも数をかさに着た国会の暴挙です。衆議院は12月6日の本会議で生活保護法改正法案と生活困窮者自立支援法案の2法案を賛成多数で可決しました。世論に背く悪法推進ですが、この間、私たちは生活保護切り下げに対し、1万件を超える不服審査請求を行い、厚生労働省との交渉ではいくつもの不当事例を指摘、その誤りを認めさせています。新たな闘いが始まっています。(西野 武記者、番匠 寛記者)
委員会審議は3時間
12月4日の厚生労働委員会で反対したのは2人のみ。しかし、憲法を踏みにじるその中身のあまりの道理のなさは短時間の審議でも、一層明らかになりました。
法案の問題点、矛盾を追及する委員の質問への厚生労働省の答弁は、相変わらず「運用は変わらない」の一点張り。とうてい納得できるものではありませんでした。委員会終了後に、報告集会が議員面会所でありました。
委員会で厚生労働省を追い詰め、反対の論陣を張った共産党の高橋千鶴子議員があいさつ。「法案が通ってもこれで終わりではない。約束したことはきちんとやらせる」と述べました。
続いて、全国生活と健康を守る会連合会の安形義弘会長が「改めて道理のなさを示したのがこの採決で、国民は決して許さない。きょうが新たな闘いの出発点だ」と強調。今後の闘いにかける固い決意を表明しました。
利用者怒りあらわに
東京・日野市から傍聴に参加した生活保護利用者の白土侑希(しらつちゆうき)さん(67)は「生活保護でやっと生活している人の想像すらせず、軽々しく採決した。命がないがしろにされている。賛成した人は、生活保護費で実際に生活してみてから判断してほしい」と怒りをあらわにしました。
声明文(骨子)
生活保護法改悪などに強く抗議する。
2013年12月6日
全国生活と健康を守る会連合会
本日、衆議院で政府と自民党・公明党・民主党、維新の会、みんなの党などは、私たちや国民の反対を押し切って生活保護「改正」案、生活困窮者自立支援法案を強行可決、成立をさせた。生活保護の「水際作戦」を法制化し、貧困と格差を拡大する2法案の採決強行に強く抗議する。
2法案は、国会審議などを通して、正当性、道理のなさが明らかになった。参議院の厚生労働委員会で可決されたとき、附帯決議が出され、生活保護の「運用は現行と変わらない」「水際作戦と受け取られるようなことはあってはならない」などの決議がされ、法案そのものの必要性が疑われる内容であった。このように、今回の法案はまったく法案を出すことそのものが必要ないものであり、申請拒否や扶養の強制などの「水際作戦」を強化するものである。
私たちは、今後、この悪法の具体化を許さず、国民の生存権を守る制度として改善させるために全力を挙げるものである。
(2013年12月15日号「守る新聞」) |