2月8日は、東京都心で積雪が20センチを超える記録的な大雪となり、日本各地からも厳しい冬将軍の便りが届いています。政府による急激な円安誘導で灯油の価格が過去最高値を更新しています。そんな中で、各地の生活と健康を守る会の福祉灯油支給制度実現に向けた運動が、実績に結び付いています。秋田、長野、福島の成果を紹介します。
県が補助、16市町村が実施 秋田
昨年末、秋田生活と健康を守る会は、福祉灯油支給制度をつくるよう、秋田市長に要請しましたが、市長は「今のところ実施は考えていない」と回答しました。
年が明けて、秋田県が福祉灯油を支給した自治体に対し補助する制度が確定したことから、秋田市は1月21日の臨時議会で補正予算を組んで福祉灯油制度を実施します。
対象世帯は、満65歳以上非課税世帯、障害者世帯、一人親世帯、生活保護を受けている世帯、助成額は一世帯当たり5000円(1回限り)です。
1月31日現在、秋田県内25市町村中16市町村で決定もしくは実施中、9市町村で検討中です。
進藤愛子(鳥谷場班)さんの喜びの声
「年金が少ないので病院に行くのも我慢しています。灯油は残っていたのを使っていましたが、灯油が高くて困っていました。5000円の補助でも助かります。遠慮しないで要求を出して運動することが大切です」
(小野浩樹さん)
阿智・平谷村などが支給 長野・飯田・下伊那
長野県の飯伊生活と健康を守る会は、今年も飯田・下伊那地方の14市町村を回り「福祉灯油を生活困窮者家庭に支給するよう」要望しました。市町村長が在室の役場では、直接会って要望書を手渡しました。
今年は、阿智村、平谷村、天竜村、下条村が5000円から1万円を支給すると回答しました。高森町では、「福祉灯油は支給しないが、母子・父子家庭には年末福祉金を渡す」阿智村では、「議会で全会一致により1万円を支給する」と決めました。
飯田・下伊那地方は、四国の香川県と同じ広さがあり、14市町村を回ると260キロ、2日間かかります。
飯田市長は、昨年他市が出さないので出さないと言っていましたので、「昨年は県下4市が福祉灯油を支給したので、今年は飯田市も支給するよう」市長に要望しました。回答がまだない市町村には、再度支給するよう要望する予定です。
(中島秀夫さん)
「会」の陳情を大差で採択 福島・会津若松
福島県では、国による灯油代補助(2007〜08年)が廃止されて以降、条例化で継続してきた只見町を除く全市町村が助成を取りやめてきました。しかし、会津若松市議会はこのほど5年ぶりに「福祉灯油」(灯油代助成)実施を20対9の大差で可決しました。
これは、会津若松市生健会の陳情が採択されたもので、生健会は提出に当たり議会各会派を回って丁寧に説明し、本会議に先立つ委員会では、灯油価格の推移や、デフレが喧(けん)伝(でん)される中で食料品などの生活必需品が値上がり、家計収入は大きく落ち込んでいる現実を政府統計に基づいて説明、ギリギリの生活を余儀なくされている低所得者の支援がいま地方行政に求められていると訴えてきました。
議会での議決を受けて市当局は実施に動いていますが、生健会は確実に実施させるための監視と働きかけを強めながら、県連合会や県内の仲間とともに2月13日には県当局との交渉に参加するなど助成を全県に広げる取り組みを目指し運動を進めています。
(二瓶 聡通信員)
(2014年2月23日号「守る新聞」) |