生存権裁判を支援する全国連絡会は2月22、23の両日、静岡県熱海市で、「生存権裁判を支援する全国交流会」を開催、24都府県から原告8人、弁護団ら合わせて67人が参加しました。今回が初めてとなる交流会は、生存権を保障する運動の広がりと裁判勝利を目的に、原告へのお礼と激励を兼ねて行われ、参加者は大いに交流・親睦を深めました。(西野 武記者)
運動が裁判所追い詰める
小泉政権時代、社会保障の改悪を進める中、憲法25条に逆行する老齢加算廃止に対して、加算復活を求めた「生存権裁判」に全国の高齢者110人が立ち上がり、亡くなった原告は多数で、現在89人が闘っています。交流会の参加者は、運動拡大の重要性を確認し合いました。
開催のあいさつに立った住江憲勇副会長(保団連会長)が「残念ながら安倍内閣は、社会保障を解体する法を次々に成立、こうした流れを止め、全国的な成果をつかむためにこの2日間、大いに学習、交流をしていきましょう」と述べました。
続いて、井上英夫会長(金沢大学名誉教授)が「今回はまず原告の方に楽しんでいただきたい。裁判は形式的には負けていますが、一方で裁判所を追い詰めています。裁判所は、生活保護の引き下げられた意味にまで踏み込みません。踏み込んでしまったら、勝たせなければいけなくなるからです。全国をまわって運動の広がりを実感しています。新たな発展を約束し合う交流会にしたいと思います」と語り、全員で亡くなった原告に黙とうをささげました。
裁判の課題や経過を新潟弁護団の大澤理尋(みちひろ)弁護士や福岡弁護団の高木健康(たてやす)弁護士がそれぞれ報告。前田美津恵事務局長が「70歳以上の生活保護利用者に、各1・7万円の老齢加算を復活させたら1年間で1164億円です。これは来年度予算案の軍事費増額分1310億円で賄えます。6、7月に『支援する会』がある各県で『生存権裁判支援県内キャラバン』を実施していきましょう」と問題提起しました。
親睦会では、原告に対し、会からお礼と激励を込めたクオカードと花束の贈呈が行われました。
全国各地に活動広がる
2日目も、参加者19人から「休眠状態だったが再開する」「県内各地生活保護学習会が開かれ楽しく参加している」など熱心な発言が続き、高橋信一副会長(全労連副議長)が「生存権裁判は人権、命を守る闘いです。この間8県で新たな支援する会が生まれています。2日間学んだことを持ち帰りお互いに奮闘していきましょう」と締めくくりました。
原告の声
東京都・鈴木カヅエさん(82)=「長いこと新潟裁判の応援をしています。東京の最高裁で老齢加算復活が認められなかったことはとても悔しかったです。年金や保護費を下げられ、さらに消費税を上げられ生活が大変です。この金額で大臣に1か月生活してもらって、認めてもらいたい」
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京都府・松島松太郎さん(89)=「生存権裁判を初めて9年になります。裁判をやめようかと思うたびに、周りの方たちが温かく支えてくれ、ここまできました。これだけ締め付けられたら、命を縮めます。もう一度生活保護の在り方を考えて最後まで力を合わせて頑張りましょう」
(2014年3月9日号「守る新聞」) |