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 東日本大震災から3年がたった現在でも、震災前の生活を取り戻すことができず、いまだ27万人を超える被災者が避難を余儀なくされています。福島県飯舘村生活と健康を守る会の被災した会員にも、被害者として賠償される収入、放射性物質汚染物置場として貸している敷地料、避難先から通い働く賃金に課税されています。「3・13重税反対全国統一行動」に呼応し行われた、被災者の怒りの自主申告を紹介します。(佐藤八郎さん)

距離や放射線量で 国が村民を分断

 3年前の申告書提出時(重税反対集会終了)に、地震が発生し、デモ行進のための警察官が、安全に歩くために誘導者となって税務署まで案内しました。会員は東西南北に避難しているために集まるのには工夫をしています。昨年は小集会と計算会、個人相談会とを組み合わせました。それでも都合が合わなくバラバラの中で、申告書を仕上げました。
 今年は1泊2日(土・日)と泊まり込み、会員の都合の良い時間、宿泊有無も含め各自にハガキで連絡。菅野今朝男(けさお)会長、県連弦弓高明事務局長と3人で相談と仕上げを援助して書き込みました。それでも、これから(被災地の申告締め切り3月31日)の会員もあります。昨年同様にまとまったら、文書を添えて集団申告として郵送します(本来の運動とはなりませんでした)。
 会員は、人災の原発事故で放射能をあび、事故発生から4〜5か月かかって避難、村からは2年間で村に戻れると言われ、避難先を替えたり、住んでいた地域によっては、初めは(1)原発からの距離で(2)放射線量で(3)損害賠償で―現在は帰村できる順位のように、同じ村民が、加害者の国によって分断され続けています。
 せめてもの救いとして、被害を受けた私たちは、医療費無料、高速道料金無料(限度あり)、固定資産税・国保税、介護保険料や家賃は免除になっていますが、家族・地域、親戚・友人などコミュニティー全体がバラバラな生活をしているのです。しかし、被害者として賠償される収入(精神的慰謝料除く)、放射性物質汚染物置場として貸している敷地料、避難先から通って働いた賃金にも課税されています。

被害者を見て見ぬふり 復興特別所得税も負担

 収支でしか見えない賠償のあり方とあくまでも申請主義(要求したら点検する)により、加害者の都合による賠償のみが追求され、私たちがこの原発事故による被害が「憲法を暮らしに生かす」ことからして、どれだけ国民としての権利を奪われているのかは見て見ぬふりをして、申告書においても「復興特別所得税」まで負担をさせているのです。
 飯舘村の自然豊かで緑あふれた地域で、悪政が続く社会情勢の中で、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」と、地域、仲間を思い合って、明日への希望を語り合い、生きがいある人生を歩んでいた私たちが何をしたと言うのでしょうか。
 菅野福明(とみあき)川俣町生健会会長は「家族そっくり避難生活をしています。本来、働いて収入を得、経費を差し引いて所得を出し、所得税を納めるのに、原発事故が土地を奪い、地域の絆を、労働の生きがいを奪い、所得保障だという税金の中から、所得税を納めることに、強い怒りを覚える」と手を握り締めました。
 東京電力や原子力ムラにはびこる利益集団が、国を動かし、それらに加担するマスコミ、学者、医師、検査機関などにより、現在は、原子力発電所再稼働・輸出ありき、現在ある危険な原発などへの安全神話復活が続いています。
 皆さん、原発事故は人生を変えてしまい、人としての権利(生存権さえも)も奪うものです。原発再稼働・輸出を許さない「即原発ゼロ」のために共に頑張りましょう。

(2014年3月30日号「守る新聞」)

 
   
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