全国生活と健康を守る会連合会(全生連)は、「公営住宅の共益費アンケート調査」を行い、共益費の実態を探りました。アンケートは全国20都道府県(43%)、79団地が回答。共益費の月額は、大きな幅があり、自治会費の中に共益費が含まれていたり、共益費の中に自治会費が含まれていたりとその内訳もさまざまです。この結果をもとに全生連は4月15日、「減免」「自治体による負担」などの指導を国土交通省に申し入れました。(西野 武記者)
東京など一部で減免
応募率が極めて高く入居が難しい低所得者のセーフティーネット、公営住宅。総戸数は約217万戸で、そのうち借り上げ住宅は約2万4000戸です。都営住宅の場合では、倍率が100倍を超えることも。難関をくぐり抜け入居しても、手放しで喜べない問題もあります。その一つが共益費です。
全生連は、「公営住宅の共益費が高い。生活保護世帯は減免できないのか」などの声が高まっていることから共益費の全国実態調査を実施しました。
共益費の月額は120円から4000円までと大きな幅があり、徴収しているところは、多くが自治会ですが、一部で自治体が行っているところもあります。
滞納については、未納分を団地自治会が立て替えるところもあります。減免は、東京都と一部の自治体で生活保護世帯に対して実施していますが、その他の自治体は実施していません(表)。
自治体で負担して
全生連はアンケートの集計結果から、国土交通省に(1)共益費徴収は自治体条例で定めること、(2)公営住宅法15条の「共同施設」「付帯設備」の維持管理費用は共益費に含まず自治体負担とし、国は財政補助をすること、(3)徴収困難な状況の団地自治会があることから、共益費を自治体が直接招集すること、(4)家賃などとともに、共益費を減免の対象とすること―を求めました。
国土交通省は、「公営住宅法20条で徴収を禁止しているのは、家賃以外の権利金、礼金などです。共益費は、共同の利益のために使用するもので徴収の禁止には当たりません。国の財源補助については、一般財源化の交付金なので自治体判断です」と答弁。 これに対し全生連は、「中でも借り上げ住宅の共益費は高く、8000円のところもある。額も、運営方法もバラバラで無政府状態。共益費廃止に向かって指導してほしい」と要望。国交省は「地域主権の流れの中で、国が介入するのは難しい」と回答しました。
(2014年4月27日号「守る新聞」) |