生活保護費の引き下げが昨年8月に1回目が行われ、今年4月から2回目が実施されました。全国の生活と健康を守る会は、昨年から度重なる減額に「黙ってはいられない」と取り消しを求めた2014年度の審査請求を実施。東京は5月19日までに572人、新潟県は5月15日までに209人、北海道全体は1100人がそれぞれ提出しました。北海道生活と健康を守る会連合会と埼玉県生活と健康を守る会連合会、神奈川県相模原生活と健康を守る会の3つの取り組みを紹介します。
全道で1100件に
北海道
北海道生活と健康を守る会連合会は5月15日、審査請求提出・札幌集会を開き、函館、岩見沢、釧路、石狩、富良野から158人が参加、848件の審査請求を提出。江別、小樽、旭川、苫小牧、北見は地元で提出行動をし、全道で1100件が提出されました。
中央区の伊賀理香子さん(51)が「9歳の娘はソロバンの先生になるのが夢でしたが、塾をやめざるを得ませんでした」と話し、厚別区の渡辺澄子さん(70)は「食事は1日3回から2回に。身内の冠婚葬祭にも出られません」と語りました。(岡ア恵治通信員)
風呂、食事回数減らす
埼玉
埼玉県生活と健康を守る会連合会は5月14日、午後1時から集団で審査請求を提出しました。この日の提出は、埼玉全県で286件、埼生連は216件でした。集会会場に県職員3人が来館し、手続き作業が集会終了まで行われました。
午後2時からは「くらしの最低保障 引き下げにNO!」生活保護基準引き下げの即時撤回を求める5・14集会が会場いっぱいの70人を超える参加者で行われました。
この集会は、生活保護基準引き下げ問題埼玉連絡会として活動を積み重ね、埼玉県での生活保護基準引き下げ裁判支援組織の確立を目指して、埼生連、きょうされん(福祉作業所連絡会)、反貧困ネット埼玉の3団体が共催で開催したものです。
その後、当事者の3人が「保護費の減額によって、クーラーを消したり、風呂の回数も減らした。ヘルパーさんや食事の回数を減らしている。障がい者や生保者から次々お金を取るのはやめてほしい」「親しい人が亡くなっても香典代がなく、葬式に行けない。肩身のせまい思いをした」など、そして全員が「今月はなんとかなったが、来月は大丈夫か不安になる」と訴えました。
集会のあと、新聞6社の記者会見が同会場で当事者を含めて行われました。(竹村正さん)
申請で15人が入会
神奈川相模原市
神奈川県の相模原市生活と健康を守る会は、一人でも多くの人が審査請求できるようにと、神奈川県生連とは別に、相模原市の中央区(5月12日)、南区(13日)、緑区(15日)の3つに分かれて行いました。
菅野通子事務局長(72)は、「今回の審査請求で会員15人が増え、114人になりました。前回の申請は45人で、代理人ら20人が実際に申請に足を運びました。今回の目標は、相模原市の生活保護受給9300世帯の1%に当たる90人でしたが、3か所合計で76人が申請しました」と語りました。
相模原市の申請数は、中央区が51人、南区が15人、緑区が10人の合計76人で、12日の中央区には21人が役所に足を運び、提出しました。
同会では、チラシを6000枚つくり団地に配布したり、支給日の昼に福祉センター前で宣伝行動を行ったりしました。審査請求書が提出しやすいように、あらかじめ記入個所への説明をするなどの配慮もしました。
菅野さんは「取り組みを通して、生活保護利用者が、制度を利用していることを人に言えるようになってきました。権利意識が芽生えています。さらに友人を連れてくるなど、新たな広がりも出ています」と審査請求の結果と同様に、運動を通して人が変わっていく過程の重要性を訴えました。
(2014年6月1日号「守る新聞」) |