原発も原爆も人間とは相容れないもの―。福島県生活と健康を守る会連合会は6月22日、2014年度被災地平和行進(原水爆禁止国民平和大行進中央実行委員会主催)に参加し、その一環として、実行委員会とともに伊達郡桑折(こおり)町の浪江町民仮設住宅を訪問。将来に不安をかかえ、いまだ仮設住宅での生活を余儀なくされている浪江の人たちと懇談しました。その後、中通りコース2日目、国見町役場から出発した平和行進グループと伊達駅で交流して、福島市内へと行進しました。(西野 武記者)
「被災者でなく被害者」
桑折駅前仮設住宅は、現在330人が入居しており、そのうち、70歳以上が約200人を占める平均年齢68歳の仮設です。
当日、仮設住宅の集会所には、約20人の住民が集まってくれました。自治会会長があらかじめ集めていた、「核兵器全面禁止アピール」署名100人分の報告をして、懇談会がはじまり、多くの要望や怒りの声が寄せられました。
「メディアも取り上げてくれない。ネットを利用して大々的に報じてほしい」「東京電力(東電)1社で、これほど苦労させられた。東電は、住宅も造ってくれない。政府交渉にも行ったがらちがあかない」
「石原大臣の『金目でしょ』発言には怒り心頭だ」「国、県、町の方針では未来が見えてこない。いつまでこうしていたらいいのか」「東電は、私たちが死ぬのを待っている」「国は、東電を守るのではなく、私たちを守ってほしい」「国会議員もここにきて実際に生活してみれば分かる」
「私たちは被災者ではなく被害者だ」「もとの自立した環境、生活に戻してほしい」「除染の効果が上がっていない。政府は放射線量をきちんと発表していない」など、不安と怒りが心底伝わってきました。
「差別のない補償を」
懇談会と平和行進には、福島県生連弦弓高明事務局長、伊達市生活と健康を守る会連絡協議会の菅野富夫事務局長(66)、行進には、福島市生健会安田稲子事務局長、同会員の清野サイ(63)さんも元気に参加しました。
菅野さんは、「伊達市にも飯館の被災者が来ている。集会での発言は、他人事ではない。避難したくてもできない人も多い。怒りのぶつけ先がなく、農産物は売れず、ストレスがたまる一方で体を壊す人もいる。補償金が出る出ないで、隣同士でも仲がこじれて、地域のコミュニティーが崩れている。国と東電は、差別せず補償すべきだ」と語りました。
また、清野さんは「安倍首相は、社会保障を引き下げ、消費税を上げ、戦争ができる国にしようとしています。平和が一番です」と歩を進めました。
当日、安田さんは、宣伝カーのアナウンスも担い、道行く人にも元気に手を振りました。
メモ
平和行進取材の合間を縫って、ロシア製のガイガーカウンター(放射線測定器)で、伊達駅前から、松川橋西側の土手までを数か所測定しました。途中伊達駅前を少し過ぎた所では「0.24マイクロシーベルト※」だったのが、北幹線東入口付近の草むらでは「0.45マイクロシーベルト」でした。国の基準では「年間1ミリシーベルトは、毎時0.23マイクロシーベルトに当たる」としていますから、線量が依然高いことが分かります。国は、この基準すら緩和しようとしています。桑折仮設住宅の住民の怒りの声が耳から離れません。
(※1ミリシーベルト=1000マイクロシーベルト)
(2014年7月6日号「守る新聞」) |