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集団的自衛権行使容認の閣議決定は憲法違反 新潟県加茂市 小池清彦市長に聞く 軍国主義復活は許してはならない 徴兵制しき、暗黒の社会に

 7月1日、安倍内閣は集団的自衛権行使容認の閣議決定を行いました。7日、新潟県生活と健康を守る会連合会の渡辺和子会長と吉田松雄事務局長と共に、「集団的自衛権行使容認反対」を訴えている新潟県加茂市の小池清彦市長を訪ね、2時間半にわたってお話を伺いました。(辻 清二編集長)

 ―7月1日の安倍内閣の閣議決定をどう思われますか。

地図 私は、閣議決定の翌日の7月2日に安倍首相に対して「憲法解釈の変更により集団的自衛権を容認する閣議決定に対する意見書」を提出しました。
 この意見書では、「集団的自衛権の行使は、いかに小さなものであっても、憲法9条第1項に定める『国際紛争を解決する手段としての武力行使』であり、すべて憲法違反であります。従って、この閣議決定は、憲法違反の閣議決定であり、撤回すべきものです」と述べています。この閣議決定は、集団的自衛権についての政府の従来の憲法解釈を変えるものになっています。
 また、日米安保条約には集団的自衛権の行使は認められておらず、この条約に基づく日米防衛協力のガイドラインに集団的自衛権行使の規定を入れることはできません。
 集団的自衛権を認めれば、アメリカの派兵要求に応えざるを得ず自衛隊員の大量の死傷者を生み出します。

 ―市長は、長い間防衛官僚をしておられましたが、その経歴と今回の集団的自衛権の問題はどう重なり合うのですか。

 私は、自衛隊は祖国防衛が任務であって、海外派兵はさせないとの信念で仕事をしてきました。自衛隊が世界の「警察官」になったら、アメリカがベトナム戦争や湾岸戦争で経験した泥沼の事態になったように、大変なことになります。例え「限定的」「必要最小限」であっても、集団的自衛権が行使されれば、攻撃は反撃を呼び、戦争はエスカレートします。
 私は、防衛庁の防衛研究所長だったとき、湾岸戦争の際の国連平和維持活動協力法案にも反対し、自衛隊の戦闘地域への派兵はさせなかった。自衛官たちに「血を流して戦え」とは絶対言えなかった。
 幸いにも戦後日本は海外派兵を一度もせず、他国の人たちを殺していない。その歯止めが憲法9条だ。
 それを今回、憲法解釈を変更して、海外派兵を可能とした集団的自衛権の行使容認は絶対に認められない。

 ―集団的自衛権の行使で海外で戦争する国になったら、国民の暮らしや権利はどうなりますか。

 海外で武力行使をするようになれば、自衛官が大量に死亡し、徴兵制が導入されます。
 戦前のように、加茂市民の若い人たちも「赤紙」一枚で徴兵されることになります。自衛隊の中では、旧日本軍と同様、下級の者へのリンチが日常茶飯事になります。そして、暴力肯定の殺伐とした社会が再び生まれることになります。そんな国・社会に絶対してはなりません。

 ―最後に、生活と健康を守る会の会員、「守る新聞」読者へのメッセージをお願いします。

 何と言っても軍国主義を復活させてはならないということです。軍国主義になれば、みなさんの声が出せず、要求もできないことになります。
 この間、軍国主義復活目指すきな臭い動きが出ています。一つは、2010年(平成22年)度の防衛省の予算の概算要求で、作戦運用については内局(文官)を関与させず、防衛大臣に制服(軍人)の統合幕僚長を直結させる機構改革がされようとしました。軍部主導によって戦争を統帥権独立を再現させるものです。ただ、この計画は今のところ実施するまでに至っていません。
 もう一つが、自民党の憲法「改定」草案が出たことです。草案には、「国防軍」の創設がうたわれ、軍人を処罰する軍法会議の設置が盛り込まれています。そして、国民の権利と自由が大幅に制限されたものになっています。
 加茂市では、成人式は憲法記念日に行っています。そこで、私は「憲法9条を守ろう」と訴えています。参加した若い人たちには共感してもらっているようです。
 これからも「軍国主義復活許すな」「憲法9条守れ」の信念を貫き通したいと思います。


 こいけ・きよひこ 1937年生まれ、加茂市出身。東京大学法学部卒。60年旧防衛庁入庁。同庁防衛研究所長、教育訓練局長などを歴任し、92年に退職。防衛局計画官時代には、自衛隊装備の中期計画策定などに携わった。95年加茂市長に初当選し、現在5期目。

(2014年7月20日号「守る新聞」)

 
   
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