生活と健康を守る会の活動のひとつが共同墓所。「終活」という言葉が話題になるずっと以前から行われています。人生の終末、最期まで助け合い、死後も冥福を祈っていこうという、まさに「会」ならではのものです。墓所と墓参の一例を紹介します。
法要で絆深まる
東京・江東、足立
江東生活と健康を守る会が千葉県に建立した共同墓所には50人が埋葬されています。9月7日のバスハイクを兼ねた第18回合同法要には46人が参加しました。
当日は朝から小雨模様でしたが、車中は和やかで、クイズなどを楽しんでいるうちに墓所に到着。墓前に故人の好物などを供え、参加者一同は手を合わせて冥福を祈りました。
法要後のホテルでの昼食は和・洋・中など50種類のバイキング。大好評でした。(星 幸子通信員)
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32年前に身寄りのない人の墓所を譲り受けたことがきっかけでつくられた、足立生活と健康を守る会の共同墓所。10月4日の32回目の合同法要には101人が参列しました。
法要は墓所の由来説明から始まり、墓所のある足立区内の寺院の住職の読経、焼香と続きました。
墓はなかなか買えません。そのためか、故人の遺骨を家に置いている人もいます。そんなことをさせないようにと、共同墓所運動を進めています。(高橋陽子通信員)
墓石には“愛・絆”
福島・福島市
福島市生活と健康を守る会の共同墓所の秋の彼岸墓参りは9月13日。22人が参加しました。
“愛・絆”の墓石の前にはキクやリンドウなど色とりどりの花が供えられ、一人ひとりが焼香、合唱しました。参列した福島県生活と健康を守る会連合会の江田清会長は「無縁死をなくそうのスローガンで入魂式が行われて、3年が経過した」とこの間の共同墓所運動について述べました。
記念写真撮影を終え、バスで昼食会場に移動。食事をしながら自己紹介や近況報告があり、交流と親睦を深め合いました。
急に雨が降ってきたので、ゆっくりと周囲の散策はできませんでした。ハーブ風呂に入ったり、コーヒーやアイスクリームを飲食したり、買い物を楽しんだりと、思い思いの時間をすごしました。(安田稲子通信員)
各地で取り組み
中には共同運営も
全国的に取り組まれている共同墓所。望む人の多くが「費用が安い」と話します。加えて、2世代、3世代で暮らす家族が少なくなり、高齢の夫婦のみ、あるいは配偶者と死別しての一人暮らしの増加といったケースが重なり合って、仲間たちといつまでも一緒の「ついの住み家」となるのでしょう。
各地にはいろいろな墓所があります。
墓事情が深刻な東京都。都内の生活と健康を守る会では共同墓所を持つところが目立ち、複数所有というところもあります。
複数の会による共同墓所もあります。三多摩共同墓所はその名が示すように八王子、日野、町田などオール三多摩。建立は2011年6月で、翌12年4月には第2期墓所が完成しました。使用料は一体22万円です。
地方の例を見ると、新潟県では政令市の新潟市のみ。他にはありません。福島県では2市のみで、県庁所在地の福島市以外に白河市にあります。徳島県では今年7月、徳島市に待望の県内第1号ができました。
―現代墓事情―
都会は入手難
霊園は高値の花
都市部、とりわけ首都圏で独立した墓を求めるのは大変です。何しろ価格がかさみます。都心から1時間30分ほどの埼玉県のある霊園のチラシ(新聞折り込み)を見て驚きました。0・9平方メートルの安いものでも120万5000円(永代使用料、墓石代、工事費含む)。それ以外にも消費税なども必要になり、おいそれとは手が出ない高い買い物です。
また、立地も気になります。新規物件の多くはこのように郊外。頻繁に墓参りというわけにはいきません。
ところで、霊園事業は誰でも自由に行えるものではありません。民間の場合は宗教法人となりますが、実際は名義貸しが少なくないと言われています。
(2014年10月26日号「守る新聞」) |