国民不在の施策の改善を求め、要求実現の闘い強化の重要性と、その手段の1つとして総選挙に取り組むことを確認しました。全国生活と健康を守る会連合会の2015年度予算要求11・17〜18中央行動に延べ369人の仲間が参加。学び、行政をただした意義ある2日間でした。(番匠 寛記者)
東日本大震災被災者の思わぬ負担増や家賃滞納による公営住宅強制退去を苦にした殺人など、国民不在の政治が私たちを苦しめ、悲劇が後を絶ちません。全生連は9月の第40回全国大会でその元凶である安倍内閣打倒を決議。今回の中央行動となりました。
国民はどん底に
運動強化を確認
省庁などへの交渉が行われた18日、参議院議員会館での打ち合わせ集会には204人が集まりました。
冒頭、辰巳孝太郎参議院議員があいさつ。「安倍政権の経済政策『アベノミクス』によって利益を得たのはごく一部の層で、消費税が上がり、国民の暮らしはどん底。そういう中で何より必要なのは相談できる場。生活と健康を守る会がもっと大きくなることだ」と参加者を激励、大きな拍手を浴びました。
続いて安形義弘会長が登壇。「国民の生活がかかった、解散・総選挙という流れの下での中央行動となった。きょうの交渉はとても大事で、私たちの苦しい実態を、思い切って伝えよう」と今回の意義について話し、暮らしを守るための要求実現運動のさらなる強化を呼び掛けました。
集会後は班別行動。8つに分かれて省庁などとの個別交渉となりました。
事実示して交渉
国民の声を聞け
交渉では具体的な事実を示しながら、現行制度の改善や国民本位の施策実行などを求めました。「担当部所に必ず伝える」「実態は承知している」との返答が少なくない一方で、「それは地方自治体の判断」といった国としての責任を放棄した対応も目立ちました。
「自治体の判断」や「財源がない」といった返答には、「むなしさを感じる」「交通費を工面し、遠くから来たのに」などの失望の声が数多く上がっていました。
参加者が最も多かったのは生活保護。午前の基準、午後の運用の2部構成で、基準引き下げで一段と困難な生活を強いられている利用者本人からの切実な声が相次ぎました。
国民健康保険の交渉テーマの1つは、なかなか改まらない保険証の未交付(留め置き)。「当事者から相談がありながら、長期間にわたって未交付なのは望ましくない」との返答がありました。
日常生活が戻らない東日本大震災被災者の生活改善では、仮設住宅暮らしの厳しい現実をぶつけました。灯油ストーブが使えず、健康が脅かされている実例をあげ、善処を求めました。
生活保護引き下げを斬る
花園大学教授 吉永 純さん
講 演
初日は学習決起集会。花園大学教授の吉永純さんが「貧困の拡大の下での生活保護基準(住宅扶助・冬季加算等)の引き下げと闘いの展望〜全生連60周年に寄せて」と題して講演しました。
吉永さんはパワーポイントを活用し、生活保護制度の問題点や基準引き下げのからくりなどを分かりやすく説明しました。
「相対的貧困率が16・1%の日本は貧困大国で、先進諸国にあってはアメリカに続くワースト2」。講演は貧困率の年次推移から始まりました。そういう現実の下での基準引き下げ。「利用世帯の家計を調査せず、でたらめな理由による前例のない規模」と強く批判しました。また、基準部会で「高齢者に対しては基準を上げる必要がある」という意見が出たことなども例にあげ、引き下げの根拠の希薄さを指摘しました。
引き下げが画策されている扶助・加算。住宅扶助については低家賃住宅が激減している実態を示し、住む権利が奪われてしまう危険性を指摘しました。冬季加算についても灯油価格高騰の現状を示し、「寒冷地の命綱で削れない」と述べました。
(2014年11月30日号「守る新聞」) |