社会保障の削減を次々に打ち出す安倍政権―。今年4月には、3回目となる生活保護基準引き下げが行われます。全国の仲間たちは、「命、暮らしを守れ」と基準減額違法の裁判に立ち上がっています。そうした厳しい情勢の中、秋田県湯沢生活と健康を守る会の羽後班が、国保税・固定資産税・介護保険料の減免運動に取り組み、条例を一部改正させるなど、県内町村議会で初めてとなる大きな成果を勝ち取っています。地域から、全国を変えていく力に、地方の会員たちが汗を流しています。そんな元気な羽後班を訪ねました。
(西野 武記者)
県内屈指の豪雪地帯冬は2〜3メートルの大雪
「この辺りは県内屈指の豪雪地帯で、冬は2〜3メートルの大雪が降ります。風が強い時は、雪で何も見えなくなるんですよ」と、湯沢生活と健康を守る会副会長で羽後班班長の桜田重雄さんが、車から見える風景を見て教えてくれました。
ハンドルを握る羽後班事務局長の佐藤栄治さんは「羽後町には『西馬音内(にしもない)盆踊り』が日本三大盆踊りの一つとして有名ですが、知ってますか」と微笑みました。
秋田県の羽後町は、JR湯沢駅から車で約30分ほど西に行った地域で、湯沢市に隣接、周囲を山に囲まれ、古くは城下町として発展しました。
湯沢生活と健康を守る会の羽後班は、2012年8月に会員13人でスタート。現在は、会員16人、読者26人になっています。
この間、桜田班長、佐藤事務局長を中心に、税運動学習会、グラウンドゴルフ大会、生活保護学習会、減免運動学習会などを進めてきました。
県下町村議会初めて減免条例改正を実現
2012年に湯沢生活と健康を守る会と羽後班で取り組んだ国保税・固定資産税・介護保険料減免のうち、税務課の国保税・固定資産税の減免は認められたものの、介護保険料減免は認められませんでした。
班は、これは納得がいかないと、県生連の指導・援助のもと会員でもある町議と共に足を何度も運び、交渉を重ねました。
そのかいあって、2013年3月の町議会で生活困窮者の介護保険料の減免に関わる条例、第14条・第5項「その他、町長が特別な理由があると認めるとき」の項目が加わり、要綱で「生活保護基準・最低生活費を下回る状態が認められた場合とする」(減免割合保険料額の100分の30)が追加されました(湯沢市は100分の90)。県下の町村議会では初めてのことでした。
早期に「会」結成へ
交渉成果“確信”に
湯沢生活と健康を守る会・羽後班の班会は2014年11月22日、羽後町コミュニティーセンターで会員18人が参加して開かれました。
班会の第1部は、佐藤新一さんのハーモニカ、佐藤サダさんによる民謡でスタートしました。
開会のあいさつを桜田重雄羽後班班長が行い、高橋忠湯沢守る会会長が、「『会』の活動は人間の尊厳を守るために、とても大切です。この運動に確信をもってさらに大きく広げましょう」とあいさつしました。
続いて、佐藤栄治事務局長が、9月に福島県で行われた全生連全国大会参加や今年の活動を報告、今後の活動、税の申告運動などを提案。さらに、冬に向け「福祉灯油」の要望書を町長あてに提出した報告、次回討論のために「生活保護」ミニ学習会の資料を配布しました。会員からは、積極的に、国保税、固定資産税、介護保険料の減免申請の報告があり、班会は大いに盛り上がりました。
第2部では、「イモノコ汁会」(懇親会)で、新入会員の紹介などを行い交流しました。
「会」主催のグラウンドゴルフで知り合い、去年5月に入会したばかりの岡田光弘さん(74)、徳子さん(62)夫妻や、班会に親子3代で参加した藤原金市さんらが親睦を深めました。藤原さん一家は、班会後に家族会員になってくれました。
懇親会の最後には、「早く、会員読者を増やして『会』を結成しよう」と確認し合って閉会しました。
(2015年1月4日・11日合併号「守る新聞」) |