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2015年度予算案 額びっくり、中身がっかり 庶民生活ずたずたに 貧困の連鎖広がるばかり

 総額96兆3420億円(前年度比0・5%増)と過去最高に膨れ上がった2015年度予算案。額の大小は別として、問題は安倍政権の方針を数字で示すその中身です。庶民生活に直結する部分は押さえ込む一方で、公共事業や防衛費といった不要不急部分への重点配分が少なくありません。庶民不在は改まりません。(番匠 寛記者)

 膨張を続ける政府予算。3年連続の記録更新です。その財源は借金(国債発行)や庶民生活締め付けで浮かせた分など全く疑問だらけです。一般紙報道でも「弱者へしわ寄せなのか」(朝日新聞社説)、「生活保護・介護では痛み」(東京新聞)、「生活支援 実感薄く」(毎日新聞)といった見出しが並んでいます。
 予算の4割近くは借金頼みとまさに火の車状態です。にもかかわらず特定部分のみは優先、重点配分が続いています。

縮む社会保障 弱者に冷たく

 犠牲を強いられるのは庶民生活。社会保障の分野です。
 社会保障は解体路線をまっしぐら。額自体は31兆5297億円と3・3%増えてはいます。しかし、日本は世界有数とまで言われる高齢化社会。高齢者人口が増え続ける自然増分にも全く足りず、実質的には1700億円もの削減です。
 狙い撃ちされる社会的弱者。生活保護は3回目の基準切り下げを画策するだけでなく、住宅扶助と冬季加算も削ろうとしています。カットは前年度比で前者32億円、後者34億円となっています。
 3つの削減を合計すると、生活保護費は前年度より323億円も減ることになります。
 高齢者対策では、介護サービスを利用する際の負担を増やし、サービスは絞ります。介護保険料は全国平均で1割上がります。利用者にとっては二重、三重の負担増です。
 高齢者医療は新たに70歳となる人の窓口負担を倍増します。2年連続です。
 支出増の懸念が広がる一方で、年金収入は目減りが必至。支給額の伸びを物価上昇分より抑える「マクロ経済スライド」を初めて導入します。可処分所得が減り、生活水準の低下は避けられません。
 収入が減るのに、物価上昇で支出は増加。苦しむ人が増え続けます。

さらに増額へ 不要不急事業

 重点配分先を見ると、公共事業(微増)では運輸関連で大型案件が目立ちます。
 国際コンテナ戦略港湾には687億円計上。前年度比12%増です。
 整備新幹線では北海道(新函館北斗・札幌)、北陸(金沢・敦賀)、九州(武雄温泉・長崎)の前倒し開業を決めています。その事業費の計上額は754億円(前年度比35億円増)、当初予算としては過去最高です。
 整備新幹線については航空機との競合による採算性や甘い需要予測など、問題点を指摘する声が少なくありません。
 またしても記録更新の防衛費。2・0%増と近年は増加に歯止めが掛かりません。
 新型輸送機「オスプレイ」を5機購入します。予算は516億円。沖縄の尖閣列島を念頭に置いたものとされています。海上保安庁の大型巡視船6隻の予算は116億円。これも尖閣警備です。また、無人偵察機や水陸両用者など多彩な装備に予算を計上しています。沖縄の辺野古基地関連は1736億円です。

表

(2015年2月8日号「守る新聞」)

 
   
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