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大阪市 プリペイドカードによる生活保護費の支給はやめて下さい 広がる不安と怒りの声

 大阪市は、2014年12月、全国で初めてプリペイドカードによる生活保護の支給をモデル事業として2015年4月から実施すると発表しました。このモデル事業は、2000人程度の「希望者」を募って、生活扶助費のうち3万円程度(単身者)を入金したプリペイドカードを貸与し、半年から1年の事業の状況を検証し、生活保護の全利用者を対象にした本格実施につなげていく方針です。この事業に対して、「生活保護利用者の生活を自由に決める権利を奪うもの」「プリペイド会社にもうけを保障し、福祉を大企業のもうけの場にするもの」など、不安と怒りが全国に広がっています。大阪弁護士連合会がモデル事業の撤回を求める会長声明を出しています。また、全大阪生活と健康を守る会連合会が呼び掛けた中止を求める「私のひとこと」が全国各地から寄せられています。プリペイドカードでの生活保護費支給への不安と怒りの声を紹介します。

大企業のもうけのために弱い者いじめはひどい
大阪市生野区 後藤憲男(79)

 「あの人は生活保護を受けている」と分かるようなプリペイドカードは人権上も許せません。私は、足も悪いので、家の近所で買い物をします。小売店で豆腐一丁35円など、安いものをゆっくり考えて買っています。
 そういうお店はカードは使えず、お店の人も現金がいいと言っています。三井住友や富士通総研などの大企業のもうけのために弱い立場の者が自由にものを買えないようにするとはなんとひどい大阪市でしょう。
 また、国の3回目の扶助基準の引き下げ、住宅扶助の引き下げと相次ぐ改悪に、怒りいっぱいです。
 家賃減免や就学援助など暮らしを守る諸制度に連動しますので、反対の声を強めていきましょう。

安い店でカード利用できず困る
大阪市東淀川区 井上恵美(52)

 私は、高齢の母親と伯父(おじ)の3人で暮らしています。
 収入は、伯父の年金と私のパート収入が少ないので生活保護を利用しています。
 今年4月から大阪市は、保護費の一部をプリペイドカードで支給しようとしています。安いお店やスーパで買い物をしているので、カードの利用ができなくなり困ります。
 高齢者2人と暮らしていて、カードを紛失した場合の不安もあります。
 カードの利用によって、プライバシーも何もなく、お金の使い道を監視されているみたいで、何も買えないし買い物をするのも怖いです。
 生活保護費は、毎年削られて生活は苦しくなるばかりです。弱い者いじめのカード利用で多額の税金を大手カード会社に支払うのなら、以前大阪市が支給していた夏と冬の見舞金を復活してほしいと思います。

自分の生活を自ら決める憲法上の権利を侵害するもの
木下秀雄 大阪市立大学教授(社会保障法)

 生活保護法には「生活扶助は金銭給付によって行う」と定められています。これは、自分の判断で自分の生活のありようを決める、という憲法上の権利でもあります。プリペイドカードを押し付けることで、生活保護利用者の生活を行政が制限することは許されません。プリペイドカードにすることで不正受給やギャンブル依存を無くすことができるかのように言われていますが、そうした問題に対する支援策としても逆効果です。まして身近な個人商店を使ってできるだけ安くていいものを買おうと工夫している生活保護利用者にとっては、カードが使える大手スーパーでの買い物を強制されることになります。

生活保護利用者を管理するもの

 プリペイドカードを押し付けることは、大手カード会社に手数料収入をもうけさせるだけです。
 こうしたやり方を進めようとする人たちに、自分自身は日常の買い物の苦労や依存症支援の実態をまったく知らないにもかかわらず、生活保護利用者の生活を管理してやろうという「上から目線」を感じます。

(2015年3月1日号「守る新聞」)

 
   
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