子どもの貧困率が16・3%、1人親世帯の貧困率は50%を超え、深刻な事態になっています。2013年子どもの貧困対策法が成立し、対策が急がれます。こうした中で、福島市のNさんの高校生の娘さんの奨学金が収入認定され、生活保護費が減額されました。Nさんは、これを不服として4月30日、福島地方裁判所に提訴しました。この裁判についての弁護士、Nさんの友人、尾木ママの声を紹介します。
奨学金は、安心して高校生活を送るのに必要
あぶくま法律事務所弁護士 関根 未希
この裁判は、(1)奨学金は就学のために必要なものであり、収入認定したこと自体が間違いであること、(2)福祉事務所が収入認定にあたり必要な調査検討を全く行わずに処分を行ったことなどが違法であることを訴えています。
生活保護費ではまかないきれない
高校での就学には多くの費用が生じますし、生活保護費ではまかなうことのできない就学費(修学旅行費など)もあります。生活保護による保障が不十分である中で、奨学金は日々の高校生活のために必要なものです。奨学金を受けることにより、子どもは、必要なときに、高校生活に必要な物をそろえ、学習や多様な体験をする機会を確保することができ、安心して高校生活を過ごすことができます。一旦収入認定しておいて、実際に支出があったことを確認できた場合に返還するという方法では、必要なときに奨学金を使うことができず、結果として子どもに我慢を強いることになりかねません。
今回、福祉事務所が、奨学金の趣旨やNさんの世帯の実情を踏まえないままに漫然と収入認定を行ったことで、Nさんの長女の高校生活や将来への希望が損なわれています。
支援する会とともに違法性訴える
これから、私たち弁護団は、裁判の場で、Nさんとevergreen project(Nさんを支援する会)とともに、収入認定の違法性やNさんとその長女が受けた損害を訴えていきます。
「いつまでたっても貧困から抜け出せない」
Nさんの友人、Iさんの話
高校時代から、Nさんと友人で、高校生2人と中学生の母親のIさんに子育てやNさんの裁判のことなどについて話してもらいました。
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離婚して10年、子ども3人と暮らしています。
2人の高校生は昼間働きながら、定時制に通っています。高校の費用は働いた給料で支払っています。
お金がないために子どもたちはつらい思いをしていることもあるのではないか。遊びもさせられずに子育てしてきた。子どもたちに我慢させていることが本当につらい。
希望の職種や夢に向かって頑張っている子どもたちが、これからの人生を楽しんで送ってほしいと願うばかりです。
Nさんの裁判については、奨学金は娘さんのためのものなのに、生活費を削るのはおかしい。これではいつまでたっても貧困から抜け出せないのではないか。
Nさんのことを理解している人としていない人がいて、困難が有ることがなぜなのか違和感を覚える。希望を持って生きている子どもたちを大人がよく見ていかないとダメだと思う。
どうして高校生の奨学金が「収入」になり生活保護減額なのか!?
法政大学教授教育評論家 尾木 直樹
どうしても理解できないのです!
福島市教育委員会と民間団体の奨学金制度に応募
年間17万円の給付が決まったようです…
わずかの金額にでも希望をつなぎ止め
学習意欲高く持っている女子高校生に対して
生活保護費用を減額するとは
何をお考えなのか
じっくり伺いたいですね
意欲的な高校生の夢まで踏みにじる福島市の担当者に強い不信感抱くの
尾木ママがおかしいのでしょうか!?
自信なくなりそうなほど不可思議な決定に思えて仕方ありません!
(尾木ママ オフィシャルブログから)
(2015年6月7日号「守る新聞」) |