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沼田崇子さん 「ただ生きているだけでは生活保護法の趣旨に反する」 青森生存権裁判で現職職員(当時)が証言

 生活保護の老齢加算の廃止処分の取り消しを求める青森・生存権裁判。4月25日に仙台高裁で第4回弁論が行われ、ここで岩手県現職職員(当時)の沼田崇子さんが証言を行いました。沼田さんは、当時、岩手県二戸保健福祉環境センター福祉課長で、長い間福祉行政に携わってきました。沼田さんの主な証言内容と証言後の思いを紹介します。

 沼田崇子さんは、「私が担当していたのは高齢者が住人の約半数になる3級地の郡部で、生活保護を受けたくない、最後の手段という受けとめと、恥ずかしいという思いがありました。国民年金のみで月3万〜4万円の収入の人が多く、農村部なので自給してお金をかけないようにしていました。加齢により病気が出てきたり、介護保険を利用するために収入が足りなくなり、申請に至るケースが多かったです」

冬季加算足りない

 「3級地で多くかかる費用としては、交通費や暖房、除雪費用があります。公共交通機関の減便や廃止があり、近隣の人にお礼を支払って乗せてもらうこともあるが、節約のために受診を控えたりしています」「冬季加算が11月から翌年3月まで支給されていますが、3級地の1で1万4200円では厳寒期には足りないし、10月〜翌年6月までの間で冬季加算が出ない月はどうやって切り詰めて灯油代を出すか、細かいことまで相談に乗ったこともあります」「雪下ろし費用は年間11万7000円を限度に支給され、家の大きさで違いますが1回3万〜7万円かかります」「田舎なのでトイレが外に別建てであり、通路の除雪を近隣に頼む場合は数千円から1万円ほどお礼を払っています」

香典や見舞いも出せない

 「老齢加算廃止後は、自治体で運営している1回100円、200円のお風呂に入りに行く回数を減らしたり、通院の際に80〜100円のお饅頭(まんじゅう)を買う楽しみも無くした。服薬回数を減らして救急車で運ばれるなど、数か月してから加算廃止の影響が見えてきた。人付き合いも、1000〜2000円といった少ない額ながらも見舞いや香典を出していたのが出せなくなった。話を聞かなかったことにしたり、ぼけて忘れた振りをしてかわしたという人もいます」
 最後に沼田さんは「ただ生きているだけの状況は、生活保護法の趣旨に反しています。人と人が交流することは保障されるべきです。消化のいい食事や体調維持、今までの履物ではうまく歩けなくなるなど、機能低下は高齢者には誰でも起こります。そこを補うことや、機能低下を抑えるための知識を得るために介護予防の教室に出たりすることなどにも出費が伴います。老齢加算は必要だったと考えます」と証言しました。

利用者や支援団体と共に制度を良くしていきたい

 証人尋問に立った沼田さんは、証人を引き受けた理由について「長年ケースワーカーをやる中で利用者本人が実態を話す機会がないと感じていました。経済の状況によって、そういう声を出せない人から削っていくのが腹立たしかったです。公務員は法律を守って仕事をするとともに、住民の立場に立って仕事をするものだと入職時に上司や先輩からも教わりました。支援団体の方とも対立するのではなく、利用者も含めて今の制度ではできないことを、どうやって良くしていけるか一緒に考えたいです」と話しました。

(2015年7月5日号「守る新聞」)

 
   
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