安倍内閣が閣議決定した戦争法案。それは日本の国際的な信頼度を著しく低下させ、国民を危険な道へと導くものでしかありません。今国会での成立を狙っていますが、それに向けての強引さが増せば増すほど、成立阻止の世論と抗議・反対運動が強まっています。各地の生活と健康を守る会も声を上げ立ち上がっています。一例を紹介します。(番匠 寛記者)
幅広く訴えアピール
あらゆる機会生かし
反対運動、宣伝の中身は多種多彩。他団体との連携も進み、各地では工夫を凝らした取り組みに力が入る一方です。
新潟県生活と健康を守る会連合会と新潟生活と健康を守る会は毎週水曜日に、市内繁華街にある新潟伊勢丹前で宣伝しています。
第1回は6月10日。プラカードなどを掲げて法案反対をアピール。用意したチラシ100枚は「受け取りが悪いのでは」との予想に反してあっと言う間になくなり、市民の関心の高さをうかがわせました。
新潟市の黒埼生活と健康を守る会では会長がこれまでに、30筆を超える反対署名を集めています。署名活動を通して、「守る新聞」2部拡大という成果も生まれています。
東京の足立生活と健康を守る会は駅頭や都営住宅などで宣伝を繰り広げています。
6月16日は東武鉄道西新井駅東口に10班と事務局の26人が集合。夕方4時からの1時間で、93筆の署名を集めました。人通りが思ったより少なかったため、署名数は予想以下でしたが、年配の女性を中心に好意的な反応が目立ちました。
都営住宅での署名集めは7月7日が第1回でした。
事務局長の遠藤美生子さんは「今後は若い人たちへの働きかけを強める他、パネルなども用意してより積極的な取り組みを推進する」と話しています。
議会に請願、可決も
首長からは疑問の声
議会への請願書提出も各地で行われています。可決も珍しくはありません。
陸上自衛隊の駐屯地がある岩手県滝沢市は可決自治体の1つ。滝沢生活と健康を守る会が新日本婦人の会滝沢支部と共同で「安全保障関連法案撤回を求める請願」(安倍首相宛て意見書)を6月4日に提出。6月26日に賛成12、反対7で可決されました。
昨年の集団的自衛権に関する請願は否決されましたが、今回は可決。自民党系会派所属議員からも賛成票が投じられました。
県内他自治体での動きを見ると、紫波町では紫波生活と健康を守る会が滝沢と同様に新日本婦人の会と連名で、請願書を提出しています。こちらは議会日程の都合により、審議未了となっています(7月1日現在)。
岩手県では、岩手県生活と健康を守る会連合会もメンバーとなっている国民大運動実行委員会が、自治体首長との懇談で法案について話し合っています。
多くの首長から批判、疑問の声が上がっています。
政府、自民
暴走加速し暴言もなりふり構わず
6月4日の衆議院憲法審査会で、与党推薦を含む参考人の憲法学者3人全員が「閣議決定は憲法違反」と発言。続いて12日には自民党の要職や防衛庁長官など閣僚を歴任した山崎拓氏、自民党時代はタカ派として知られ、政調会長を務めた衆議院議員の亀井静香氏ら幼少期に戦争を体験したベテラン政治家4人が記者会見。法案反対を表明しました。
反対の声が日を追うごとに広がり、「潮目が変わってきた」と報道されています。しかし、政府はそれに背を向け、暴走を続けています。
その1つが国会会期の9月27日までの大幅延長。衆議院で可決し、参議院送付から60日たっても議決しなければ衆議院で再可決できる、「60日ルール」適用は考えていないとしていますが、禁じ手とも言える手法です。まさになりふり構わずといったところです。
そんな中、安倍首相と親交の深い作家の百田尚樹(ひゃくたなおき)氏を招いた自民党議員勉強会で、法案に否定的な報道機関を抑圧し、沖縄県民を貶(おとし)める発言が飛び出しました。関係者を処分するなど火消しを図ったものの、またまた、世論の反発を招く結果に。日本新聞協会が抗議声明を発表し、テレビキー局の社長からも批判の声が上がっています。
(2015年7月12日号「守る新聞」) |