関係省庁などに声を突き付け、国民本位の納得できる施策を求める、全国生活と健康を守る会連合会の夏の中央行動が7月21日にありました。社会福祉改悪、動きが鈍い震災復興、原発、子育て・就学など問題が山積しています。各地から駆け付けた122人は怒りの声を上げ、強く改善を迫りました。戦争法案については内閣府に反対署名を提出しました。(番匠 寛記者)
自治体まかせ国の責任放棄
スタートは厚生労働省ロビーでの打ち合わせ集会。辰巳孝太郎参議院議員から「個人で交渉するのは難しい。交渉は生活と健康を守る会の出番であり、課せられた役割だ。力を合わせて頑張ろう」と激励のあいさつがありました。
集会を終えた参加者は5班に分かれ、交渉に臨みました。返答の多くは従来答弁の繰り返しや、「ご意見は承る」といったような具体性に欠けるものでした。また、国としての責任を放棄した自治体任せの姿勢も目立ちました。「今回もがっかり」という感想が数多く聞かれました。
住宅扶助や冬季加算を含めて基準削減の生活保護(厚生労働省)。交渉では「基準が低いにもかかわらず、利用者の声を聞くこともなく引き下げが強行された。物価上昇も相まって利用者はさらに追いつめられている」と社会福祉を軽視する政府を追及する声が相次ぎました。
公営住宅(国土交通省)では、建設にあたっては国は資金援助はするが、主体はあくまで自治体との答弁に終始しました。家賃滞納対策では自治体に滞納者の状況をよく把握し、事情によっては福祉部局とも連携するよう通知していることを明らかにしました。
生活福祉資金(厚労省)では広島県でのテレビは貸付除外を挙げ、適用品目拡大を求めました。「適用不可の品目は具体的に示していない。社会福祉協議会に状況を聞く」との返答でした。広島のケースとは別に「焦げ付きを恐れてか社協は貸したがらない。貸さないための制度になっているのでは」との指摘がありました。
就学援助(文部科学省)では3回目の生活保護基準引き下げが認定基準に悪影響を及ぼす懸念が拭えません。それをただすと、「影響が及ばないようにしたい」との返答はありました。しかし、自治体任せの姿勢を崩しませんでした。大学奨学金では無利子貸付実施に向け、予算措置を要求していることを明らかにしました。
当事者声上げる胸打つ重い現実
各班で当事者が声を上げました。語る事実は重く、対策は待ったなし。行政のやる気が問われます。
東日本大震災から4年半近く。しかし、復興はいまだ途上で、ぺースは緩やかです。被災者は二重、三重の苦労を強いられているのが現状です。
福島原発事故の影響は依然として深刻です。いまだ収束していないにもかかわらず、政府は保障の幅を狭め、原発再稼働をごり押ししています。福島で長期間、避難生活を強いられている会員と浜岡原発(静岡県)近くに住む会員が怒りと疑問をぶつけました。
「きちんともとのように暮らすことができる環境を戻してほしい」「地域住民全員を対象にした原発事故避難訓練を実施してほしい」―。しかし、明確な回答はなく、政府への不信がさらに高まる交渉でした。
「しっかりと除染し、正確なデータを公表すべき」(弦弓高明福島県生活と健康を守る会連合会事務局長)。それがない限り、不安は消えません。
仮設住宅に暮らす被災者が望んでいる住宅再建ですが、多くの人が資金不足に悩んでいます。生活支援金支給額の500万円への増額を要求しました。しかし、返答は「自助、共助が基本で、公助は側面支援」というもので、増額を否定しました。
(2015年7月26日号「守る新聞」) |