昨年の9月13日に立ち上げた「子どもの医療費助成制度拡充を求める岩手の会」(136団体200人を超える個人で構成、県生連は賛同団体事務局)は、中学校卒業まで医療費無料、それも償還払いではなく現物給付で実施することを要望して運動を続けています。
岩手県はこの二十数年間、助成制度拡充は行わないできました。その結果、全国の中で最低水準に落ち込みました。
昨年段階の助成は、小学校入学前まで医療費無料、ただし、償還払い方式(窓口で現金を支払い、申請後、後日戻ってくる方式)でした。
県は、これまで私たちの要望に対し「現物給付すれば国からペナルティーがかかるのでやらない」の姿勢を崩しませんでした。しかし償還払い方式をとっているのは10道県、東北では岩手だけです。
「4人で年20万円以上の医療費かかる」
「岩手の会」の共同代表の一人、山内美枝さん(盛岡市・4人のこどもを持つ母親)は「中3・小3・小1・3歳の母です、子どもたちは食物アレルギーがあって、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎があるので年中、何年間も小児科・皮膚科・眼科・耳鼻科に通っています。4人で年間20万円以上の医療費がかかります。住む地域によって医療費に差があるって言うのはおかしいと思います」と請願提出の時、千薬伝議長に、署名提出の際、達増拓也知事に訴えました。
また、県議会請願では全会派が紹介議員になり、12月10日採択されました。
知事が小学入学までの医療無料等を表明
これらの動きの中で2015年2月9日、達増知事は記者会見の中で「小学校入学前までの医療費および、入院に限り小学校卒業まで現物給付を行う」ことを表明しました。
「岩手の会」は県を動かした運動に確信を持ち、中学校卒業まで医療費無料を実現させるために、新たに知事あて署名運動を11月末まで、できる市町村から「実現する会」をつくり、市町村単独助成拡充を図る運動を起すことを呼び掛けました。
医療費の心配で歯の治療にいけない子どもたち
県内で一番水準が低い滝沢市に住む会員の鈴木久美子さん(64)は「巣子学童クラブで働いています。一番心配は歯のこと。学校の歯科検診で歯科に行った方がいいと言われた子が医療費の負担があるため行かない、ぜひ中卒まで無料にしたい、運動していきます」と。
同僚の松浦香織さん(36)は、「小学校2年の子どもが昨年入院、医療費負担が大変だった」、門田弘之さん(42)は「15歳と17歳の子どもがいます、一人は川崎病にかかり、医療費で苦労しました」と語ります。
滝沢生健会は、この秋から「市長あての要請署名運動」に取り組むことを話し合っています。
(川口義治通信員)
(2015年8月23日号「守る新聞」) |