「人間らしく生きたい!」―。生活保護基準引き下げに抗議する「25条大集会」が10月28日、東京の日比谷公園で開かれました。参加者は4000人を超え、生活保護関連では過去最高。大きな怒りの声を、晴れ渡った秋空にとどろかせました。利用者からは逼迫(ひっぱく)するばかりの生活実態が語られ、国会議員や各界代表からは、力強い支援の声が上がりました。集会後は、銀座方面へのパレードで、生存権・憲法25条の大切さを訴えるとともに、厚生労働省に集会アピールを届けました。(文=番匠寛記者)
参加者は生活保護利用者のほか同様に生活を脅かされている年金生活者、非正規雇用労働者、障害者など。生活と健康を守る会会員も全国から大勢、駆け付けました。
オープニングのミニコンサートに続き、実行委員会共同代表の弁護士の尾藤廣喜さんがあいさつ。「格差が広がり、貧困化が進行している現状では、生活保護利用者が増えるのは当然だ。にもかかわらず、政府は憲法25条に反する政策を執り続けている。現在の深刻な状況を改めるためには、貧困の原因に合わせた対策が必要で、生活保護の充実が何より重要だ」と貧困化対策での政府の無策を批判。福祉制度充実の必要性を訴えました。
呼び掛け人からは経済学者の金子勝さんが登壇しました。「安倍政権は国民の権利と利益、そして国会さえも無視してやりたい放題。憲法25条で保障された最低限の生活も怪しくなっている」と力強く語り、会場を沸かせました。
引き下げ処分取り消しなどを求めて裁判を闘っている原告70人も登壇。厳しい生活実態などを述べました。その中の一人、福岡の毛利吉彦さんは次のように話しました。
「自転車で動ける地域の店で一番安いものを、カップ麺などは期限ぎりぎりのさらに安いものを買っている。衣料品は下着も含めて、新たに買うことはほとんどない」
著名人集まる 各界から呼び掛け人
生活保護など社会保障改悪がなし崩し的に進む中、それを危惧する著名人53人が呼び掛け人となりました。社会保障の専門家や弁護士だけでなく、テレビなどでおなじみの人たちなど各界から賛同者が集まったのが特徴的です。幅広い層に支えられて開かれた、今回の集会でした。
そうそうたるメンバーが揃った呼び掛け人。経済評論家の荻原博子さん、作家の落合恵子さん、精神科医の香山リカさん、ジャーナリストの堤未果さん、同志社大学大学院教授の浜矩子(のりこ)さん、芥川賞作家の平野啓一郎さん、ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さん、経済評論家の森永卓郎さん、作家の森村誠一さんらが名を連ねました。
(2015年11月8日号「守る新聞」) |