新潟市西区在住の片山百合子(68)さんは、冬季加算を年間1万6880円減額されました。昨年10月21日、節約のためにストーブを消した部屋に入った途端、膜下出血で麻痺した下肢が引きつり、転倒してろっ骨を6本骨折し入院しました。特別基準の支給を求めていた矢先でした。片山さんは、外出が困難です。体をほぐし、血圧をあげないために、電気こたつ、石油ストーブで暖を取っています。重度障害者加算がなく、要介護認度が低いために特別基準が設定されませんでした。
退院後、ケースワーカー(CW)から、「特別基準の設定が必要だと考え、医師に診断書を依頼し、上にあげた」との連絡がありました。
同市中央区の、佐藤博(仮名)さんは妻と2人暮らしです。1万4140円の冬季加算が減額されました。80歳と高齢な上に長く透析の治療を受け歩行が困難であり、積雪で危険な冬場は外出しません。
エアコン、電気ストーブ、豆炭こたつで暖を取っています。特別基準の申請に対しCWは、「医師の診断書の提出など、上司に相談している」と回答しています。
(吉田松雄通信員)
冬季加算特別基準が設定されてうれしい
札幌市東区 高橋裕明さん
北海道の各生活と健康を守る会は、冬季加算の特別基準を82人が申請し、11月2日現在16人が認められています。高橋さんは、「私は病気療養中で、要介護3を認定されています。今年から冬季加算が、2万8020円減り、11万5800円から8万7780円になり不安になっていました。生活費はギリギリです。私の病気は血液のガンの一種で、入退院を繰り返しも在宅時は、毎日のように介護ヘルパーや訪問看護のサービスを受け、なんとか生活しています。体温調節がうまくいかず、他の人より暖房費が増えてしまいます。守る会で特別基準を申請しようと呼び掛けられ申請した結果、認められて本当にうれしいです。助かります」
(佐藤宏和通信員)
生活保護・冬季加算の特別基準とは
特別基準は、一般基準の1・3倍の冬季加算額を支給するものです。
厚生労働省は、特別基準に該当するものとして、傷病、障害などによる療養のため外出が著しく困難であり、常時在宅をせざるを得ない者、および乳児のいる世帯、その他、医師の診断書などにより、福祉事務所が認めた場合を示しています。「傷病、障害など」として、重度障害者加算が支給されている者、要介護3から5の者がいる世帯をあげています。
「実態に合わせて増額」と答弁
泉田新潟県知事
冬季加算引き下げについて、泉田裕彦新潟県知事は、10月5日の県議会本会議で「生活実態に合わせて増額となる場合もあり、一律に引き下げが行われるものではない」「実態を把握した上で、必要に応じて、国に対して要望することを検討」すると答弁しました。
県福祉保健課は、知事答弁について、特別基準を設定することで必要な額を支給することができることから、適切に特別基準を設定することが必要ではないかとの認識を示したものとしています。
また、加齢、うつ病、引きこもりなどについて、福祉事務所が認めた場合対象になるので、医師の診断書を元に生活実態を把握して対応していただきたい。冬から春にかけて実態調査を行いたい。
調査方法は今後検討したいとしています。
(2015年11月15日号「守る新聞」) |