東日本大震災から、5年目を迎えようとしています。政府・東京電力は、「復興は進んだ」「原発の安全が確認された」などを口実に、被災者・避難者の賠償・補償、支援策の打ち切り、削減を進めています。原発事故で県外に避難した人たちの住宅無償措置さえ廃止しようとしています。横浜市の北澤浩美さんは、仙台市で震災に遭い、横浜市の市営住宅に避難しましたが、来年4月に住宅からの退去を求められ、途方にくれています。11月の全生連中央行動に参加し、各省庁に「退去強制はやめて」と訴えました。
北澤さんは、同じ団地に住む横山勢津子さんと一緒に、11月26日の全生連中央行動・各省交渉に参加しました。
午前中は、国土交通省との交渉で北澤さんの訴えに担当者は「公営住宅の入居・退去は横浜市が決めること。こちらでは指導できない」と冷たい無責任な回答に終始しました。
午後は内閣府などとの交渉。内閣府の担当者は、「避難した市営住宅は災害救助法の応急仮設住宅なので宮城県が担当しています。宮城県に伝えたい」との回答にとどまりました。
交渉に参加していた宮城県塩釜市の今野由紀枝さんは、「被災者に対する宮城県の対応はひどい。仮設住宅ではカビが出て住むのに大変な状態をなくしてほしい。北澤さんの問題も解決するよう県にも働きかけたい」と話しました。
家賃を払って住み続けることができないのか!
横浜市 北澤浩美さん
私は、2011年3月の震災当時、仙台に住んでおり、3月末には契約期間満了ということで退職することも決まっていた。
原発事故により、福島県浪江町にある実家は立入禁止区域となってしまい、実家に戻ることもできず、横浜の妹夫婦を頼って避難。神奈川県が被災者として受け入れてくれたので、応急仮設住宅として横浜市営住宅に入居、現在に至る。ところが、今年10月半ばに横浜市長の名前で来年の4月25日までに退去せよ、との通知あり。神奈川県や横浜市にそれぞれ問い合わせたところ、国の方針だから退去せよ、の一点張り。
現在、通院加療中なので転居は困難。宮城県の対応もなし、家賃を払い、現在の住まいに住み続けることはできないのか。
被災者への支援打ち切りやめて
麻生財務大臣にも要求
12月1日、「軍事費を削って、暮らしと福祉、教育の充実を」国民大運動実行委員会は、麻生太郎財務大臣に2016年度の予算要求の申し入れを行いました。
この申し入れには、全国生活と健康を守る会連合会の辻清二副会長も参加。辻氏は、北澤さんの例も取り上げて、東日本大震災の被災者の暮らしと福祉を守るよう要求しました。
多くの被災者がいまなお困難な生活を強いられており、全国各地で被災者救援の取り組みが求められています。
(2015年12月20日号「守る新聞」) |