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政令都市第3位 高い国民健康保険料 利用者の実態訴え続け 2年連続引き下げへ 〈静岡市〉

 政令市第3位の高い静岡市の国民健康保険料ですが、2016(平成28)年度も引き下げが決定。実態を訴え、2年連続引き下げをさせた運動を紹介します。

 静岡市は2015年度、初めて国保料を年平均で1人当たり6067円、1世帯当たり1万2597円引き下げ、16年度は年平均で1人当たり6228円、1世帯当たり8886円引き下げます。
 10年以上前から毎年1万人を超える請願署名を提出し、市内15団体が共同で積み重ねてきた運動の成果です。

貯め込み基金は国保世帯に返せ

 12(平成24)年度の国保料の3割値上げで、高すぎて払えない世帯は加入者の2割を超え、滞納世帯に対する差し押さえは急増しました。
 静岡生活と健康を守る会では1000人分の署名を集め、13年には「国保料アンケート」(101通回収)に取り組み、利用者の実態を訴えてきました。
 ところが市の国保会計は毎年黒字、15年度に基金(貯め込み)が61億円あることが明らかになりました。私たちは、繁華街や地域で「61億円は国保世帯に返せ」と訴えました。
 静岡生健会は班会で呼び掛けて署名集めを進め、力を持っている会員や自営業の会員には用紙を預けました。1人で264人分を集めた葵区の川根浩子さんはじめ、16人が10〜40人分以上集めるなど奮闘が広がりました。

「低収入」は減免に値せず

 15年11月、市の国保運営協議会で松内是(よし)卓(たか)事務局長が意見陳述。「5人家族で218万円の年収に40万円近い国保料がかかる。夫は月2万円の医療費があり、分納しているが滞納があり入院しても高額療養費が使えないという実態にもかかわらず、『単に収入が少ないという理由では減免に値しない』と減免申請を却下された」と、その不当性と国保料引き下げを訴えました。
 国保運営協議会では滞納世帯の状況や差し押さえ問題が議論になり、市国保課は61億円の基金を取り崩して「引き下げ」を提案。1月、16年度の引き下げが決定されました。
 引き下げられたとはいえ、滞納者への差し押さえなどをやめさせること、減免制度の拡充や手続きの簡素化、広域化の問題などはさらに追及し、何より加入者の実態を告発し 続け、会員も増やしていこうと考えています。

(松内是卓通信員)


「引き下げ」を知らせる喜び

静岡市葵区鴨狩のぶ江(73)

 今回の引き下げには、大きな喜びがありました。「頑張れば、引き下げは実現できる!」という自信を持ち、地域で、街頭でそのことを知らしめる喜びです。
 友人、知人に伝えると、「年金が減る一方で、国保料の引き下げは良かった。うれしい」の声があがりました。
 しかし、不安があります。署名集約数が目標に達していません。「会」全体の行動力をもっと高めていきたいです。「国保会計の黒字は十分あるので、まだ高すぎる国保料を改善させましょう」と呼び掛けています。

署名の力を感じた成果

静岡市駿河区望月龍雄(72)

 全国の政令都市でトップクラスの国保料の引き下げを求める運動をしようと、2014年会合を開き、各団体が一緒に行動することになりました。祭りなど地域のイベントでも、のぼりを立てハンドマイクで国保の事実を説明し、1人でも多くの市民に訴えようと取り組んできました。
 このような運動の繰り返しが議会を動かし、引き下げが実現したのではないでしょうか。みんなで取り組んだ署名の力です。

(2016年3月13日号「守る新聞」)

 
   
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