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生活保護費過払い ミスは福祉事務所なのに 利用者を違法返還処分 撤回求め裁判

 福祉事務所のミスによる生活保護費の過払いの責任を、全面的に利用者が負う。こんなあり得ない事態が東京都西多摩郡で起こりました。今さら問うまでもないその是非ですが、行政は誤りを正しません。東京都生活と健康を守る会連合会が全面的にバックアップする裁判が始まり、支援の輪が広がっています。(番匠 寛記者)

 2013年8月21日、生活と健康を守る会会員でシングルマザーの山本みずほさん(仮名)に、東京都西多摩福祉事務所から「返還金決定通知書」が届きました。記載された金額は59万1300円。児童扶養手当58万380円と加算1万920円の過払いの、全額返還を求めるものでした。
 全額返還決定処分は生活保護法が定める自立更生規定に反し、過払いは行政のミス。責任を保護利用者に押し付けるのは全くの筋違いです。しかし、審査請求と再審査請求は行政の暴挙を追認。司法に判断をゆだねることになりました。
 第1回公判。山本さんの娘を思う意見陳述は、ほぼ満席の傍聴者の胸を強く打ちました。
 第2回公判後の報告会では、弁護士から「この厚生労働省通知を覆すことができた時、この効果は日本中に波及する。だから個人の問題のみにはとどまらない」という説明がありました。
 社会保障削減が続く中、この裁判は大きな意味を持ちます。勝利に向けていろいろな取り組みが進み、支援運動が広がっています。
 3月20日の東京社会保障推進協議会の総会では(1)山本さんの訴え(2)都生連の亀山茂雄副会長と弁護士の、裁判に至る経過説明と協力要請―がありました。27日には「山本みずほさんを支援する会」が立ち上がりました。
 体制が整い、支援活動が加速しています。西多摩福祉事務所は4月の人事異動で、過払いミスを犯したケースワーカー(CW)を再度、山本さんの担当に当てました。何の反省もなく、山本さんの気持ちを逆なでするこの人事配置に対し、4月28日にCW交代を要請し、ミス再発防止策の徹底などを申し入れました。

これまでの経過
2013年10月18日 審査請求
 14年3月17日 裁決「本件審査請求を棄却する」
 14年4月14日 再審査請求
 15年4月22日 裁決書「本件再審査請求は、これを棄却する」
 15年10月20日 東京地裁に提訴
 16年1月20日 第1回公判
 16年3月23日 第2回公判

ぎりぎりの生活、娘にもしわ寄せ

公判で胸打つ意見陳述

 山本さんは第1回公判で意見陳述。次のように話しました(要旨)。
 ぎりぎりまで切り詰めた生活の中、生活保護費切り下げが続き、消費税も増税。しわ寄せが娘にまで来ています。
 食費は月2万〜2万5000円。1週間分を5000円とし、食品は買いだめしていますが、週の終りになると、おかずが一品少なくなります。成長期の娘に満足な食事を食べさせることができていないのでは、と申し訳なく思っています。
 食事だけではありません。この冬、コートを買ってあげるのが遅くなり、一時期は寒い中、コートなしで学校に通わせ、寒くみじめな思いをさせてしまいました。
 突然、ケースワーカーからの電話で、前任者のミスにより過払いがあると知らされてびっくりしました。過払い分を返してくれと言われましたが、受給者にミスの責任を負わせるのは、納得できません。
 生活保護はなくてはならない制度です。どうやって娘を人並みに育て上げ、母子家庭で頑張っていけばいいのか分かりません。これ以上、娘にはみじめでつらい思いをさせたくありません。

行政は不誠実 説明責任果たせ

 実情を顧みない審査請求裁決と再審査請求裁決書、返還義務について都生連の亀山副会長に聞きました。
 「審査請求裁決では『法63条の規定に基づき、その解釈に則(のっと)ってなされた適法なもの』としていますが、本来63条は資力のある人についての規定。資力のない人に、全額支払いを求めるのは無理があります。また、再審査請求裁決書では、『自立更生について必ず説明しなければならないと規定しているものではなく』としています。しかし、受給者のミスではない本件では十分な説明は当然で、『規定しているものではなく』は開き直りのように感じます」
 「最大の問題は、返還が仮に月3000円の分割なら、200か月も最低限度以下の生活を強いること。憲法25条に反し、絶対に許せません。勝利に向け、支援をお願いします」

(2016年5月15日号「守る新聞」)

 
   
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