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東日本大震災の被災地訪問 5年目の現実にがくぜん 一日でも早く元の生活を

 東日本大震災から5年が経過。復興はまだら模様で、地域間格差が広がっています。原発事故の収束宣言は全くの空証文にすぎず、除染のめどは立っていません。そんな中で熊本地震が発生し、大きな被害が出ました。全国生活と健康を守る会連合会は5月15日から17日まで、被災地・者と連帯・交流し、熊本も含めてさらに支援の輪を広げようと、岩手県の山田町と大槌町(15、16日)、福島県の原発事故被災地(17日・オプション)を訪れました。全国の生活と健康を守る会から岩手には延べ212人が、福島には36人が集まりました。(番匠 寛記者、西野 武記者)

岩手

復興は課題山積み

地域間格差広がる

 「もう5年も経ったのに」―。そんな声が次々と飛び出しました。津波に襲われた沿岸部の光景はとにかく驚くばかりで、復興工事の進捗(しんちょく)の遅さを痛感させられます。15日は山田町と大槌町に分かれ、現地の実情の一端に触れました。
 一番の課題とも言われている住居。状況は非常に深刻です。山田には1856戸の仮設住宅があり、うち1419戸に被災者が入居しています。大槌の仮設住宅入居戸数は約1500戸で、3000人余りが暮らしています。
 災害公営住宅(復興住宅)入居か自宅再建で、一日でも早く出たい―。いまだに不便な仮設暮らしを強いられる人たちの切なる願いです。しかし、転居は容易ではありません。公営住宅建設と宅地造成の工事は、用地確保などさまざまな要因が絡み合って、大幅に遅れています。
 復興住宅建設状況をみると、山田は計画数19団地・777戸に対し、完成は5団地・230戸。大槌も同様で、計画の約40%が整備されたに過ぎません。
 高台に新築の家も目に付きます。しかし、新築家屋の隣は土地造成工事中というアンバランスさ。自宅は再建したものの、インフラ整備が伴わず、買い物などが不便という悩みも聞きました。

より大きな支援を

情報共有は不可欠

 16日は、震災時には3階部分まで水に浸かり、その後、改修し営業を再開した大槌のホテルで、集いがありました。地元の仲間(山田24人、大槌22人)と交流し、連帯を深めるとともに情報を共有しました。
 オープニングは地元人形劇団「あんど娘」の公演。セリフの方言がユニークで、会場を沸かせました。
 続いて、全生連の吉田松雄副会長があいさつ。「被災者支援活動を進め、人間の尊厳を取り戻すために奮闘しよう」と呼びかけました。
 被災地の現状、今後の見通しなどについて、大槌の阿部佑吉さんと山田の佐藤照彦さんが発言。詳しい数字を多彩に盛り込んだリアルな中身に、会場は静まり返りました。
 熊本地震被災地からの発言もありました。被災した当事者が「住居が破損した人が転居先を探しても、物件が非常に少ない。特に低家賃物件は、ほとんどと言っていいほどない」と話しました。
 集いには大槌町長の平野公三さんも出席。九死に一生を得た自らの被災体験を踏まえ、「次世代に教訓を伝えることが大事」と述べました。


原発事故被災地

高い線量に口数少なく

 5年が経過する福島原発事故後の被災地域の現状を知ろうと「福島訪問」には、東北被災地参加者の大勢が引き続き訪れました。川俣町の交流館を5月17日、午前9時過ぎにマイクロバス2台で出発。はじめに山木屋地区の冬場にスケートリンクとして使われている場所で線量を測定。飯舘村役場を視察後、居住制限地域の福島県生活と健康を守る会連合会会長の佐藤八郎さん宅、会員の佐藤みつ子さん宅を訪れ、ホットスポットの雨どいを測定、高い数値にみな驚きました。
 その後、南相馬から国道6号線を南下。福島第一原発、第二原発周辺の帰還困難区域を移動中、バスの中で計測すると3・0(自然界では0・03)マイクロシーベルトを示し全員が絶句。
 最後に、廃駅になったJR常磐線の富岡駅を見て、荒れ果てた風景に原発の恐ろしさを再認識しました。

(2016年5月29日号「守る新聞」)

 
   
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