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生活と健康を守る会連合会が県と交渉 世帯年収が300万円まで 返済猶予の対象拡大

 高校・大学などに通うおよそ2・5人に1人が利用している日本学生支援機構の貸与型奨学金は、2014年度に未償還者が22万8000人、898億円にも上りました。学校卒業後も非正規・不安定就労などから返済に追われるケースが多く、給付型奨学金の実現が望まれています。こうした中、新潟県生活と健康を守る会連合会(新潟県生連)は、新潟県に給付型奨学金の創設を求め、交渉の中で活用できる回答を得ました。(吉田松雄通信員)

低所得者向け無利子大学など入学時一時金

貸付制度新設

 4月末に新潟市東区に住む36歳の女性が県生連事務所を訪れました。15歳と4歳の子を持つ母子家庭の母親です。生活保護を利用しており、長女が私立の進学校に入学したことから給付型奨学金制度についてインターネットで検索しました。
 同奨学金を導入しているのは、金融機関や公共ガス会社が2人程度募集をしているのみで、利用できるものはありませんでした。母親は、「自分は体調が悪く子どもの将来を思うと、借金を背負わせるのは不安でならない」と話しました。
 5月27日、県生連は給付型奨学金の早期創設を求め、県と交渉を行いました。県の担当課は、「大学の奨学金のほとんどが国制度であり、国で検討する課題と考えている。全国都道府県教育委員会連合会として要望している。県の奨学金は、今年度から返済猶予の対象を世帯年収が300万円に達するまで無期限とする拡充(別表(8))を行い、低所得世帯向けに無利子の大学など入学時一時金貸付制度を新設した」と回答しました。
 例えば、私立大学に自宅から通学している学生には月額5万1000円貸与、などです。2015年度実績では、貸付件数は751件(高校536、専修学校73、大学142)で、うち返還猶予は411件でした(別表(1)〜(7))。16年度予算は3億6400万円となっています。
 参加者は、「母子寡婦父子福祉資金を体調不良などから順調に返済できず、やっとの思いで元金を納入した。今は生活保護を利用しているのに、170万円もの違約金(延滞料)の督促が来た。免除できないので支払うようにと言われ困っている」、との会員の切実な声を示し、「低所得者向けの公的貸付金でもサラ金や税務署以上の取り立てが行われている。急いで制度の創設が必要だ」と強く求めました。

表


ことば解説

 国(日本学生支援機構)の貸与型奨学金=第一種奨学金(無利息)・第二種奨学金(利息付)があり、返済を必要とする奨学金制度。
 給付型奨学金=返済が不要な奨学金制度

(2016年7月17日号「守る新聞」)

 
   
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