人生のエンディングを考える“終活”が話題になる中、終(つい)の棲家(すみか)となるお墓にもいろいろな形が生まれています。お墓と言えば、生活と健康を守る会には以前から共同墓所があります。助け合いの輪を広げようというならではの取り組みから生まれたもので、各地に広がっています。最近の新たな試みや、法要などの話題を紹介します。
運営を法人化へ 広島県
墓所の存在は、未来永劫(えいごう)にわたって不可欠です。末永い継続をより確かなものにするための方策の一つとして、今後の管理・運営体制についても議論されています。
広島県生活と健康を守る会連合会の共同墓所。今年8月の墓所管理組合理事会で、新しい形態、法人化移行に向けての検討が始まりました。
きっかけは「広島共同墓事務担当○○」となっている銀行口座でした。
個人名が付いていることから、「名義人が死亡した場合、口座が凍結されてしまうのでは」という疑問が出ました。これについてはその後、共同墓名義となっているため、事務担当名義人が死亡しても直ちに凍結されないことが分かり、一安心しました。
しかし、共同墓所運動の継続を考えると、法人化は避けられないということになりました。
法人化への移行にあたり、理事会はNPO法人と社団法人についてそれぞれのメリットとデメリットを検討。その結果、前者では年1回、広島県への報告が必要など事務手続きが煩雑なことが分かり、後者がいいのではという方向に落ち着きました。
ただし、いずれの形態とも住民税などの検討課題がまだ残されているのが現状です。より良い形を求めて、検討を進めています。
墓所は広島市に隣接する府中町の寺院、久蔵寺にあります。現在、113体が納骨され、利用申し込み者は172世帯です。
毎年、春と秋には合同墓参が行われています。今年の秋の墓参は9月11日。9単組から49人が参列し、住職の読経が流れる中で、次々と焼香しました。会食もあり、参列者は互いの交流も深め合いました。
希望者増え増設 東京 品川
どうしても必要なものだけに、共同墓所を求める声は静かに広がっています。すでに取り組みを行っているところでは、申し込み者の増加に伴い、増設の動きも出ています。そして、まだないところでは、今後の検討課題として関心を深めています。
費用や立地など霊園事情が深刻な東京。共同墓所でも増設の動きが具体化し、複数所有というところもいくつかあります。その1つが墓所建設20周年となる品川生活と健康を守る会で、3つの墓所を管理・運営しています。
200体が収容可能な3つ目は、2013年に建立しました。かなりの資金を要するおいそれとはいかない難事業ですが、会員の協力の下で努力と工夫を重ね、増設を成し遂げています。
墓所があるのは千葉県御宿(おんじゅく)町の霊園。3つ合わせて420体の遺骨を納めることができます。
小高い丘の上の墓所に埋葬された故人は、温暖な気候のこの地で永遠の眠りについています。
ちなみに永代使用料は1人10万円で、夫婦の場合は15万円になります。霊園墓所なので、寄付金を払う必要はありません。加えて、使用料納入以降は管理料金などの負担もないそうです。
立地はすぐ近所 東京 足立
足立生活と健康を守る会の共同墓所は、地元足立区内の寺院、易行院にあります。34年前に当時、身寄りのなかった人から譲り受け、2007年に改修工事が行われました。寺院が集まる寺町の一角の、先代の三遊亭円楽師匠の墓もある静かな環境の下で、約100体の故人が眠っています。
合同法要は毎年、10月の第1土曜日の午後。今年は1日にありました。93人が参列し、故人をしのびました。
参列者の中には遠方に転居した会員もいます。そんな人にとっては、法要は久しぶりの交流の場にもなっているようです。1年分の会費を払い、旧交を温め合っていました。
(2016年11月6日号「守る新聞」) |