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若者が未来を描ける奨学金制度に

 学生支援機構の奨学金を借りたが返せずサラ金のように追い立てられる実態のなか、給付型奨学金を望む声が広がっています。現在、奨学金を利用しながら息子さんが大学へ通う松田美由紀さんと、奨学金を返済中の千田昌也さんから手記を寄せていただきました。

教育は無償に

息子は700万円背負い卒業
大阪市港区 松田美由紀(44)

 私は、53歳の夫と大学3年の息子と中学1年の娘の4人家族です。息子は北海道北見市で一人暮らしをしながら大学に通っています。

アルバイトと奨学金で生活

 息子が高校3年生の大学受験前、夫が働いていた会社が企業譲渡となり退職しました。軽トラ冷凍車を買い、今は、週3回人工透析をしながら自営で配送業をしています。
息子は、私学と比べ学費が少ない国立大学に入学しました。学費と生活費は、引っ越し作業などの短期アルバイトと、月12万円の奨学金で賄っています。4年で576万円、利息を合わせると700万円を超える借金を背負って大学を卒業することになります。新社会人になるとき、すでに車2台買えるような借金を背負って社会に出る、それが今の日本の若者の現状です。
 北見での生活は、家賃は安いのですが、冬場はマイナス10度〜20度になるため、24時間ずっとストーブをつけっぱなしでないと家の中の水道管が凍結します。そのため、灯油代・ガス代が高くつきます。奨学金を借りても大変で、食事はもっぱら自炊で。幸い料理が好きなので、大阪からたまに送る米類や乾物などで節約をしている、できるだけお金を残して奨学金の返済にあてたい、と言っていました。大学の前期・後期の初めには、授業料とあわせて新しい教科書やテキストなども購入しないといけないため、さらに苦しい生活になります。

毎月約3万円 20年間も返済

 卒業後、奨学金を毎月2万6000円、20年かけて返すことになるのです。いま、大学生の半数以上が奨学金を借りて進学しています。大学を卒業して正社員として就職できたなら、毎月の奨学金返済もできるでしょう。しかし、派遣やアルバイトなど非正規雇用でしか就職がなかったとしたら、奨学金返済、国民年金、国民健康保険料、市府民税など払っていけるでしょうか。結婚など考える余裕がないかもしれません。
 未来の日本を担う子どもたちこそ宝です。お金の心配なく高校や大学に行けるように、返済不要の給付型の奨学金を創設してほしい、もしくは、大学・大学院まで完全無償にしてほしいです。

長い期間の返済

これほど負担大きいとは
岩手県盛岡市 千田昌まさ也や(28)

 奨学金制度はローンとして生活を苦しめるものではなく、将来の日本を支える若者を応援するための制度であってほしいです。
 現在は正規職員、非正規職員に限らず、就職後の一定の時期から奨学金の返済が始まり、収入が安定せず支払いが困難となり自己破産にいたる奨学金破産ということも現実に起きています。
 私も大学進学の際、少しでも親の負担軽減になるならと日本学生支援機構の奨学金制度を利用しました。社会人となり、総額200万円以上の金額を20年以上先まで毎月返済し続けることになっています。正直、これほど長い期間払い続けること、自身の生活へこれほど負担が大きいとは当時は想像することもできませんでした。
 奨学金を借りなくて良かったと思う人や、奨学金を借りる時点で返済のイメージをしてから借りるべきだと言うもいます。しかし、借りる段階、18歳前後で自分の就職先、給料など具体的なイメージや計画を持てる人はどれくらいいるでしょうか。社会情勢の変動を予想できる人はどれくらいいるでしょう。
 返済義務のない奨学金を利用していた友人は、返済義務が生じていたら、いまの生活はかなり苦しくなっていただろうと話します。
 若者が未来を描ける奨学金制度にしてほしい。何のための、誰のための制度か、しっかりと考えてもらいたいと思います。

 【ミニ解説】日本の奨学金は異常です。諸外国をみると、大学授業料を徴収するアメリカやイギリスでは約半数が給付奨学金を受けています。大学授業料を取らないドイツやフランスでも、約3割が給付奨学金を利用しています。
全生連は給付型奨学金を求めて、毎年文部科学省交渉などで奮闘しています。

(2016年11月13日号「守る新聞」)

 
   
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