27都道府県918人が訴えている生活保護基準引き下げ違憲訴訟を支える組織として、11月7日「いのちのとりで裁判 全国アクション」が設立され、衆議院第1議員会館で記念集会が開かれました。1日に最高裁で、兵庫生存権裁判の上告棄却の不当決定が出されたばかり。全国から220人を超える参加者で、新裁判勝利に向けて全国的支援組織のスタートを切りました。
生活保護受けてよかった
「家を出た娘たちも15万円の給料では暮らせず、保護費の中から援助。このままでは共倒れで、未来を拓けない。暮らしていける生活保護を国に認めさせるために闘う」「障害を持つ娘たちと、自分の病気で食事に気をつけなければいけないが、それができない」「夫の暴力から逃げ、働きながら生活保護を受けた。病気になり、受けてよかったと思う。生活保護はいのち綱。人間らしく生きたいと原告になり、この集会に参加して勇気が出た」
原告の発言に大きな拍手が起こりました。
青森の支援者は、「生存権裁判の10年間で毎年バーベキューに取り組み、原告が『生きていてよかった』と言ってくれた。次の闘いに引き継ぎ、『精いっぱい闘い、精いっぱい楽しむ』でいく」。
兵庫新裁判の原告団長・北風正二さん(78)と藤原精吾弁護士も、「生存権裁判は負けたとは思っていない。国連の社会権規約や憲法の制度後退禁止原則を示した大阪高裁判決を新裁判に活用し、全国で認めさせよう」と元気に訴えました。
声をあげ広げていこう
自由党の山本太郎参議院議員、日本共産党の高橋千鶴子衆議院議員、民進党の初鹿(はつしか)明博参議院議員があいさつし、参加者を激励。
作家の雨宮処凛(かりん)さんがコーディネーターを務めるミニシンポジウムでは、住まいの貧困支援や最低賃金の闘い、精神障害者の支援施設、介護の現場から取り組みや実態が話されました。会場から「貧困者同士が分断されている。憲法25条を世論にしていこう」「意見を言い考えあうこういう機会を今後も持ちたい」「軍事費の予算が5兆円を超えた。福祉は受け身になっていてはいけない」などの発言がありました。
「生活保護利用は当たり前の権利、貧困に殺されず、貧困で選択肢を狭(せば)められない社会、そんな当たり前のために私たちは声をあげます」というアピールを満場の拍手で採択しました。
最後に尾藤廣喜(びとう ひろき)弁護士がまとめに立って「(1)原告を孤立させず応援しよう、(2)保護基準は最低賃金や他の制度に関わることを広げよう、(3)最低賃金や、医療・介護の改悪に反対する闘いとつながろう、(4)社会保障の底上げを図り、軍事費拡大に歯止めをかけよう」と提案。「誰もが安心して暮らせる社会に変えていく出発の日に」と、拍手で新たなスタートを確認しました。
(2016年11月20日号「守る新聞」) |